和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月25日(日)

「高齢者いじめのセールス」

 世の中で一番嫌いなのは、弱い者いじめをする組織や人間である。子どもへの虐待、高齢者いじめ。より強い力、より多くの知識を持った組織や人間のそうした行為を見聞するたび、心の底から腹が立つ▼先日来、全国紙が報じ、共同通信の配信で本紙も掲載した、かんぽ生命とゆうちょ銀行による保険や投資信託の不適切な販売もその一つである。高齢者が契約している保険を一度解約させ、再び契約するなどして手数料を稼ぎ、顧客に保険料が上がるなどの不利益を与えていたという▼例えば、かんぽ生命が昨年11月の乗り換え契約およそ2万1千件を調査したところ、同社が「(書面上など)外形的に見て、顧客にとって乗り換えの経済合理性が乏しい」と判断した契約が約5800件にも上ったそうだ▼両社を傘下に持つ日本郵政の社長は、記者会見で「深く反省している。お客さま本位の販売体制を構築していく」と述べているが、高齢者を食い物にするような営業を見過ごしてきた責任はどうするのか▼経営陣は現場に過酷なノルマを課し、現場の人間は自らを守るため、高齢者の理解不足に付け込んで不利な契約を押し付ける。そういう「いじめの構造」に、代理店として全国の郵便局が関係していた可能性があるというのだ▼ひどい話である。高齢者を守り、現場で働く人たちを守るためにも、関係各社の経営陣は組織としての姿勢を正さなければならない。 (石)