和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年11月13日(水)

「涙腺崩壊」

 小学生の頃、母親がテレビドラマを見て泣いていると、面白がって冷やかした。高校時代には、甲子園の開会式で球児の行進に毎回涙するという恩師の話を聞いてケラケラと笑った。そんな自分が年齢を重ね、同じように涙もろくなっている▼映画やドラマの感動する場面はもちろん、挫折を乗り越えたスポーツ選手らが声を詰まらせてインタビューに答える光景にもらい泣きをする。小説や新聞記事に涙ぐんだり、繰り返し放送される映像で、内容が分かっているのに再びウルウルとしたりもしてしまう▼なぜ年を取ると涙もろくなるのか。調べてみると、長く生きているとさまざまな経験や知識を積み上げ、理解度が深まって感情移入しやすくなるからだという。若い頃よりも人生経験を積み重ねた正常な状態というのだ▼ただ涙腺が緩くなるのは、恥ずかしいことばかりではない。涙を流すことは、ストレス解消につながる。脳がリラックスし、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンが減るらしい▼そんな理由から、ストレス解消に見る映画はコメディーやアクションよりも泣ける作品を選ぶ。さすがに泣き顔は見られたくないので、映画館に出掛ける際は一人がいい▼朝、出勤の身支度をしながら片手間に見る朝ドラで、草刈正雄や松嶋菜々子らの演技に目頭を熱くする。役者が上手なのか、年のせいなのかは分からないが、平和な日常をありがたく思う。  (河)