和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月20日(金)

「運転免許返納」

 高齢ドライバーの事故が社会問題になっている中、白浜署と串本署が運転免許返納を促すため「運転卒業証」を贈ることにしたら、返納する人がずいぶん増えたという▼長年安全運転を続けてきた人ほど、免許を返納することが自己の経歴を否定されたという心理につながりがちだという。「卒業証」はそういった気持ちを静める効果があるのだろう▼しかし、返納を奨励するだけでは高齢ドライバーの課題は解決しない。地方で暮らすには車は必需品であり、年を重ねて体力が衰えればなおさら手放しにくくなる。免許を自主返納した人が無免許運転で事故を起こすケースも出てきている▼例えば4月に免許を返納したばかりの群馬県の男性は、グラウンドゴルフの大会に参加するため軽トラックを運転し、自転車の高校生をはねて軽傷を負わせた。普段は同居の親族に運転を依頼していたのに、その日はたまたま不在だったため自分でハンドルを握ってしまったという▼政府も対策に乗り出した。先日発表された交通安全緊急対策には、安全運転支援機能を搭載した車に限定した運転免許制度の創設や地域の特性に合わせた新しい移動手段の実用化などが盛り込まれた。鳥取県では、近所の人が有償で送迎する共助制度の実証実験が始まった▼一方は技術の進歩に期待する対策であり、もう一方は現実を踏まえた対策である。和歌山県でも取り組みを考えてもらいたい。 (長)