和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月26日(火)

米国臨時代理大使が献花 龍神村のB29搭乗兵慰霊碑

古久保健さん(左)から墜落当時の様子などを聞くジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使(右から2人目)と二階俊博幹事長(右端)=和歌山県田辺市龍神村殿原で
古久保健さん(左)から墜落当時の様子などを聞くジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使(右から2人目)と二階俊博幹事長(右端)=和歌山県田辺市龍神村殿原で
 米国のジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使夫妻が5日、和歌山県田辺市龍神村殿原地区を訪れ、太平洋戦争末期に墜落した米軍爆撃機B29搭乗兵の慰霊碑に献花した。碑は地元住民が建立したもので、米大使館のトップが訪問するのは初めて。長年にわたって追悼を続けてきた住民とも交流し、国を超えて平和への祈りをささげた。

 ヤング氏は自民党の二階俊博幹事長や、真砂充敏田辺市長らとともに慰霊碑を訪問し、静かに花を手向けた。

 史実の調査を続けてきた郷土史家の古久保健さん(83)はじめ、地元住民とも懇談。墜落当時の説明に耳を傾けた。碑の近くには、訪問の記念として紀伊半島南部の固有種クマノザクラを植樹した。

 ヤング氏は「この村の皆さんは70年以上も前、墜落した搭乗員を優しく世話してくれた。日本人が持つ深い思いやりの心は、いまでも米国人を感動させる。今後も日米間の友情を深めるため、努力を続けていきたい」と語った。

 B29は1945年5月5日、日本の戦闘機に撃墜され、殿原の山中に墜落した。搭乗兵11人のうち7人が死亡し、4人はパラシュートで脱出。後に捕らえられて3人が処刑され、1人は不明とされている。

 地元住民は米兵の遺体を埋葬し、慰霊碑を建立。45年6月9日に初めて供養し、その後も毎年5月5日に宗派を超えて慰霊祭を営んでいる。

 殿原は、二階幹事長の母親の出身地。日ごろから日米協力などについて意見交換をする中でこの史実を紹介したところ、ヤング氏が訪問を希望した。任期の終了に伴って今月帰国するのを前に、夫人とともに訪れた。

 二階幹事長は「殿原の地を訪れていただき、平和な時代を実感している。本当に良かった。今後も日米友好の花を咲かせていきたい」と述べた。

 古久保さんは「今日の日を迎え、いまは亡き先人たちとともに感謝している。これからも区民みんなで平和を訴え続けていきたい」と語った。