和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年06月22日(火)

コロナ禍の“食の救世主”になり得るか? キユーピーが展開する新たな「惣菜」の可能性

キユーピーが立ち上げた新ブランド「わたしの惣菜」シリーズ『素材をあじわうポテトサラダ』
キユーピーが立ち上げた新ブランド「わたしの惣菜」シリーズ『素材をあじわうポテトサラダ』
 マヨネーズやドレッシングでおなじみのキユーピーから、新ブランド「わたしのお惣菜」が誕生。冷蔵庫にストックして手軽に食べられるサラダ、主菜、ソースシリーズの全9商品を展開している。マヨネーズを使ったポテトサラダや、野菜の甘みを活かしたドライカレーなど、100年以上の歴史を誇る同社ならではのラインナップ。コロナ禍で日持ちする食品のニーズが高まるなか生まれたブランドについて、開発のこだわりから、10年連続でプラス成長している惣菜市場へ参入の可能性を同社に聞いた。

【写真】食卓が彩る、特製ソースでごちそうになる「わたしの惣菜」シリーズラインナップ&献立例

■コンセプトは“自分だけのお惣菜屋さん”キユーピーと縁の深いポテトサラダの味を追求

――まずは、新ブランド「わたしのお惣菜」のブランドコンセプトを伺えますでしょうか?

【上席執行役員 新規市場開発担当・藤原かおりさん】『冷蔵庫にストックしておけば、いつでも食べられるお惣菜』というのが、ブランドのコンセプトになります。自分だけのお惣菜屋さんが冷蔵庫にあって、食べたい時に食べたいメニューを選べるようなイメージですね。

――サラダ、主菜、ソースと3つのシリーズを展開することになった理由を教えてください。

【藤原さん】キユーピーは、『サラダとタマゴのリーディングカンパニー』をビジョンに掲げているので、まずサラダ商品を作ることは既定路線でした。さらに、ご家庭での食卓を考えた時、サブメニューだけではなく、メインも欲しくなるのではというところから、主菜シリーズも展開することに。他社と違うのは、サラダを軸に考えているので、ラインナップを通して野菜をおいしく食べていただけるよう考えています。

――サラダは、『素材を味わうポテトサラダ』、『柑橘香るにんじんサラダ』、「胡麻香るごぼうサラダ』の3種ですが、メニューはどのように選定されたのでしょうか?

【藤原さん】まずポテトサラダは、お惣菜売り場で最も売れるサラダメニューなので外せないなと。さらに、彩りを大事にしたにんじんのキャロットラペ、そしてごぼうサラダはドレッシング市場で1番売れている『深煎りごまドレッシング』にヒントを得て選定しました。

――『深煎りごまドレッシング』が売り上げNo.1なんですね。

【藤原さん】意外と知られていないのですが、ドレッシング市場で『深煎りごまドレッシング』は19年連続で売り上げトップなんです。みなさん好きな味であろうというところから、ごぼうと合わせた商品を開発することになりました。ポテトサラダも、元々創始者がアメリカで食べたポテトサラダに感銘を受けてマヨネーズを作ったという経緯がありましたので、当社に縁の深い商品となっています。

――ポテトサラダの賞味期間が冷蔵で20日と長いところも、従来の惣菜サラダと一線を画しているように思います。

【藤原さん】スーパーやデパ地下で買うお惣菜は、当日か翌日までに食べなければいけないものが主流だと思います。今回は、作りたてと同じ鮮度感、同じおいしさでどこまで日持ちさせられるかという部分がチャレンジでした。そのために、新たに“冷圧フレッシュ製法”を開発し、冷蔵で20日間という賞味期間を実現させました。

――具体的にはどのような製法なのでしょうか? 開発にあたり苦労された部分は?

【研究開発本部・上地利征さん】“冷圧フレッシュ製法”は、低温で超高圧処理することで、素材本来の食感や色味を残し、味わいを維持する製法です。いろいろ苦労はありましたが、難易度が高かったのは、時間がたっても作りたてと思えるような品質を作ることでした。特にポテトサラダなどは時間がたつと固くなったりパサパサしたりしがちなので、作りたてに近づけるのは大変な部分もありました。

――商品として完成までには、かなり試行錯誤されたのでは?

【上地さん】1つ作り上げるのに、100~150回は試作を重ねましたね。一番苦労したのは、素材の味をいかに出すかということなんです。従来の惣菜では日持ちさせるには、保存性を高めるために添加物を入れざるを得なかったのですが、今回は入れていません。より素材と調味料の調和が実現できる技術を盛り込みました。そのおかげで素材の味を活かし、かなり家庭の味に近づけることができました。

■自社の強みを活かしたラインナップ 味だけではなく、見た目の美しさもカギに

――食卓のメインとなる主菜シリーズも、新たな取り組みかと思います。

【藤原さん】自社の強みを発揮するために、競合他社さんとどう差別化を図るかが大きな課題でした。その中で、やはり知見がある野菜を活かしたメニューに特化しました。『トマトと野菜のキーマカレー』は野菜をたくさん使い、素材の甘みを存分に活かしたやさしい味わいになっています。大人から子どもまで食べられる味で、キユーピーらしいものができたのではと思っています。開発した女性担当者も、「子どもにも食べさせられる味を」とこだわって作り上げた商品ですね。

――昨年9月には、低温売り場専用商品を扱う「フレッシュストック事業」を立ち上げていますよね。

【藤原さん】キユーピーの調味料は常温の売り場で展開していますが、忙しいお客様は冷蔵売り場に行かれる方のほうが多いんですよね。コロナ禍で買い物に行く回数も減っているので、買い置きできて、かつ冷蔵の商品を作ろうというコンセプトで、“フレッシュストック”事業を立ち上げ、さらに4月から「わたしのお惣菜」ブランドを展開するに至りました。

――惣菜市場に参入されたのはどういった思いからでしょうか。

【藤原さん】もともと、惣菜メーカーのデリア食品がグループ会社で、幅広いお惣菜を展開しています。今後は、お客様からも売り場からも、日持ちのする商品のニーズが高まると予測し、今回のブランド立ち上げに至りました。

――今後、本格的に惣菜市場に参入する可能性はありますか?

【藤原さん】そうですね。評判もよく反響をいただいているので、今後、ブランドを育成して、大きくしていきたいです。サラダに関しては1番価値を認めていただいているので、そこを中心にラインナップの強化を考えています。商品を増やすことで、選ぶ楽しさも表現してきたいですね。

■『3分クッキング』にも通じる食への使命も

――100年以上食生活を支えてきた御社が、ずっと大切にされてきたのはどのようなことでしょうか?

【藤原さん】食卓の豊かさと、健康的な食生活への思いは変わらず、大切にしています。60年近い歴史を持つ『キユーピー3分クッキング』も、毎日の献立作りに役立ちたいという想いで始めた“料理番組”なんですよね。今後も、お客様の食卓を豊かにするお手伝いや、悩みを解決することは使命だと思っています。

――キユーピーの公式サイトで紹介している時短レシピや、「わたしのお惣菜」シリーズの日持ちのように、御社の商品開発の中で“時間”は一つのキーワードと言えるのでしょうか?

【藤原さん】「フレッシュストック事業」で手がける商品は、 調理の手間がかかるものは開発しないと決めていますし、どの商品でも意識はしていますね。ブランドが掲げているお客様のお約束への一つでもあります。

――最後になりますが、今後の展望を伺えますか。

【藤原さん】今まで調味料は調味料、お惣菜はお惣菜と、担当部門分野が分かれていた別々に事業を運営していたのですが、今後はうまく融合してグループの“総合力”でいい物を提案していくことが大事になってくると思います。妥協しないもの作りで、時代のニーズにスピーディーに対応していきたいですね。

(取材・文/辻内史佳)

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提供:oricon news