和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年07月16日(火)

「来店条件は疲れた人」SNS上に存在する架空の”喫茶店”に7万いいね、癒し与える

約7万いいねが付いている『満月珈琲店』のツイート(画像提供:桜田千尋さん@ChihiroSAKURADA)
約7万いいねが付いている『満月珈琲店』のツイート(画像提供:桜田千尋さん@ChihiroSAKURADA)
 疲れた人だけが行ける『満月珈琲店』という架空の喫茶店のイラストが、話題を集めている。作者は、“崖っぷちサラリーマン兼イラストレーター”の桜田千尋さん(@ChihiroSAKURADA)。「星屑ブレンド」や「満月バターのホットケーキ」など天体とかけ合わせたユニークなメニューが並び、昨年12月に投稿したツイートには7万件近い、いいねが。フォロワーからは「人生で初めて『疲れたい…!』と前向きな気持ちで思った」などのコメントも続出。イラストの域を飛び出し、舞台化まで発展した架空の喫茶店が持つ不思議な魅力とは?

【写真】『空色ソーダ』に『月光ブレンド』、『ベテルギウスのプリン』…味を想像したくなる「満月珈琲店」の癒しメニュー

■初作品は驚くほど反応なし 「空色ソーダ」とメニュー名を付けたら大反響

――まずは、「満月珈琲店」のイラストを描き始めたきっかけを教えてください。

【桜田千尋さん】最初は、物を描く練習の一環でした。もともと空や海など風景のイラストを中心に描いていたのですが、「もっと描けるものを増やしたい!」という思いから、物体を描く練習を始めたんです。建物や乗り物、楽器、食器など色々な物を練習していて、グラスを描いていた時に、中に空があったらきれいだなと思って描いたのがきっかけです。

――最初にツイッターに「満月珈琲店」の投稿をされたのはいつ頃ですか?

【桜田千尋さん】2018年の初め頃にあげた「空色ソーダ」のイラストだったと思います。最初にあげたときは「清涼飲料水」というタイトルで投稿したんですけど、びっくりするぐらい反応がなくて(笑)。しばらくしたある日、その絵がソーダっぽいなと思って、「空色ソーダ」として投稿したところ、ものすごい反響があったんですよ。

――名前をつけたら全然反応が違ったんですね。

【桜田千尋さん】そうなんです。そのあと、全く別の意図で「満月珈琲店」という海に浮かぶコーヒースタンドのシリーズを描いたんですよね。それで、“どうせだったらこのお店で「空色ソーダ」を販売しよう!”という流れで、満月珈琲店のシリーズが始まりました。

――「満月珈琲店」のお店のコンセプトを伺えますか? 「今夜もきっと、世界のどこかで頑張った人を応援しています」という一言が素敵でした。

【桜田千尋さん】ありがとうございます! コンセプトは、「疲れた人を癒すところ」ですかね。僕自身、会社がキツかった帰りに「食」で癒されたことが多々あったので、そういう場所だったらいいなと思っています。疲れた時には甘いものが食べたいので、基本的にカロリー高めのメニューが出ます。

――「満月珈琲店」のマスターや、細かな作品の設定があればお聞かせいただけますか?

【桜田千尋さん】実はあんまりないんですよ(笑)。「疲れた人だけが行けるコーヒースタンド」、「日没と共に開店して、夜明けとともに閉店する」、「大きな猫のマスターがいる」ぐらいです。

――そうなんですね。あえて決めていないということでしょうか?

【桜田千尋さん】最初はメニューの設定や味、世界観を詳しく決めた方がいいかなと思っていたんです。でも、イラストを投稿するたびに、見てくれた方が「どんな味がするのかな?」と興味を持ってくれたり、「こんな味がすると思う!」とか僕の想像を超えるおもしろい設定を付けてくれたりするので、それを見て「なるほど!」と思いながら、みんなで作っている感じです。

――「人生で初めて『疲れたい…!』と前向きな気持ちで思った」というコメントもありましたが、ツイッターユーザーからの反響はいかがでしたか?

【桜田千尋さん】ありがたいことに「ここへ行きたい」、「食べてみたい!」とよく声をいただきます。それまで描いていた風景のイラストは「イラストが好きな人」の反応が多かったのですが、満月珈琲店のイラストは天体関係の仕事をしている人や、アクセサリーを作っている人、実際にお店をやってる人など、普段イラストに関心がないユーザーまで届いているようで、びっくりしています。

■イラストの域を超え、舞台化が決定 誕生日プレゼントや子どもへの贈り物にも

――同人誌即売会や通販等でメニューブックやグッズ等の販売もされていますが、反響はいかがですか?

【桜田千尋さん】同人誌即売会に今まで来たことがなかった方が、メニューブックやグッズを買いに来てくださったりするのは本当に驚いています。かれこれ10年ぐらい同人即売会に出ているのですが、そんなこと初めてで……。「欲しいのですが、遠方でどうしても行けないです」という声もたくさんいただいたので、通販も始めました。

――受け取った方からはどんな声がありましたか?

【桜田千尋さん】「友達の誕生日プレゼントにします!」とか「2歳の子どもと見ます」など、様々なメッセージをいただきました。贈り物にしていただけたり、小さなお子さんと見ていただけたりしているようで、本当にありがたいです。

――喫茶店に“夜の空の風景”を組み合わせた理由をお聞かせください。

【桜田千尋さん】メニューの案がいくつも思い浮かんだからですかね。「空色ソーダ」、「星屑ブレンド」など飲み物のメニューと、満月珈琲店の一日のイラストですごい反響がきて、せっかくなので続きを描きたいなと思ったんです。

――「三日月のクロワッサン」、「ペテルギウスのプリン」など、豊富なメニューも魅力です。

【桜田千尋さん】飲み物の次に食べ物を描きたいと思った時、「満月バターのホットケーキ」が思い浮かんだんです。その後、ワッフル、クロワッサンとイメージがどんどん浮かんできて。そこから今に至るまで、喫茶店×天体・気象の組み合わせでイラストを描き続けています。

――8月に「満月珈琲店」の舞台化がきまったそうですね。心境はいかがですか?

【桜田千尋さん】劇団Cheminee(シュミネ)さんにお声がけいただき、舞台にしていただけることになりました。声をかけてもらった時はまだメニューのイラストも全然なくて、「これを舞台化するの?」と驚いていたのですが、キャストもあらすじも日取りも無事決まって、公演日が近づくにつれ、「本当に舞台になるんだ!」という喜びをかみしめています。まだ脚本も読んでいないので、ただただどんな舞台になるのか待ち遠しく思っています。

■崖っぷちサラリーマンからイラストメインへ 「“満月珈琲店”をさらに広めたい」

――普段は会社員をされているとのことですが、イラストはいつ描かれているのでしょうか?

【桜田千尋さん】6月まではフルタイムで働いて、休日にイラストを描いていたのですが、お陰様で7月からは会社の日数を減らして、イラストメインで活動できることになりました。

――“崖っぷちサラリーマン兼イラストレーター”というプロフィールもユニークですね。

【桜田千尋さん】イラストレーターとして活動し始めた当初、「インパクトのあるキャッチフレーズをつけよう!」ということで妻が考えてくれたんです。当時、会社に行くのがすごく辛い時期でして、いつまでサラリーマンできるのかなって思っていたので。今はもう会社ともうまく行っていて、全然大丈夫なんですけどね。

――「満月珈琲店」のイラストを制作する上で心がけていることはありますか?

【桜田千尋さん】食べ物のイラストはとにかく色と光ですね。パンや焼き菓子のこんがりした焼き色や、ソースやシロップのとろりとした光沢はこだわって描いています。あと、これは風景のイラストを描いていたときからなのですが、仕上げの光の散らし方にはこだわっています。スマホの画面で見てもらうことを想定して、ある程度縮小した状態できれいに見えるかを意識して描いています。

――ちなみに、「満月珈琲店」の中で、お気に入りのメニューはありますか?

【桜田千尋さん】フードメニュー第1号の「満月バターのホットケーキ」です。バターとシロップだけで食べるホットケーキが好きなんですよ。

――今後描いてみたいものがありましたらお聞かせください。

【桜田千尋さん】描きたいメニューやお店のイラストの構想がまだまだあるので、まずはそれを全部描いていきたいです。

――最後に、今後の目標や夢などありましたら教えてください。

【桜田千尋さん】まずは個展をしてみたいです。あとは、今あるグッズは平面のものばかりなので、ガチャガチャみたいなミニチュアのメニューなど、立体的なグッズを作れたらと思っています。これからも、満月珈琲店を色々な方向で広めていけるよう活動していきたいです。最終的な願望としては、中学生のころからずっと僕のヒーローである、Mr.Childrenさんと一緒にお仕事をするのが夢です!

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