和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月16日(月)

夏の高校野球開幕 努力を信じて頑張ろう

 全国高校野球選手権和歌山大会が12日、和歌山市の紀三井寺球場で開幕。聖地・甲子園への出場を懸けて39校の戦いが始まる。

 夏の高校野球は今年で101年目。日本高校野球連盟は主催者の一員として「次の100年」に向けた行動計画を決めた。

 注目したいのは、投手の肩や肘を守るための議論が本格的に始まったことである。新潟県高野連が昨年12月に投球数制限の導入を表明したことを受けて日本高野連が有識者会議を設け、議論が始まった。6月の会議では、当面は大会終盤など一定期間の総投球数に制限を掛ける方針を決めた。

 和歌山大会を前に紀南10校を取材したが、多くのチームに故障を抱えながら部活動を続ける選手がいた。投手、野手にかかわらず、投げ過ぎによる肩や肘の故障、疲労骨折や打撲などに悩んでいる選手も少なくなかった。

 アマチュア野球を統括する全日本野球協会などが2014年に実施した少年野球を対象にした実態調査では、選手全体の6割近くが何らかの痛みを持っていた。肩や肘痛が多いのは投手と捕手で、ともに全力で投げる球数の制限を決めておくべきだとしている。

 一方、日本臨床スポーツ医学会の「青少年の野球障害に対する提言」によると「野球肘」の発生は11、12歳がピーク、「野球肩」の発生は15、16歳がピークという。

 少年野球の全国大会では、この夏から投手1人につき1日70球の投球制限を設ける。田辺・西牟婁の大会では、投球回数を1人につき1日7回(同点の場合は9回まで可)と制限している。来年度からは回数ではなく球数の制限にする可能性があるという。

 子どもたちは試合で勝つために全力でプレーし、周囲の大人も結果を期待する。しかし、双方の無理が重なればけがにつながり、選手生命を縮める。実際、ジュニア世代から期待され、それに応えようと酷使してきた結果、高校になって肩や肘に深刻な痛みが出るケースも少なくない。その実態を直視し、指導者や保護者らには「育成」の気持ちを大切にして、小中学生の段階からけがの予防に取り組んでもらいたい。

 高校野球の指導者にも、同じことを求めたい。部活動は教育の一環であり、最優先にされるべきは発育途中の部員の心身を育てることにある。しかし、投球数制限については、全国的に「部員の少ない高校が不利になる」という意見が根強く、なかなか足並みがそろわないのが現状だという。

 紀南では、取材した10校ともに複数の投手を育て、指導者たちは野球の技術だけでなく人間教育に力を入れていると答えた。少子化や人口減の影響で、選手がベンチ入りできる20人に満たない高校もあるが、悲観することはない。この1年間、鍛えてきた道を振り返り、自分を信じ、仲間を信じて挑めば道は開ける。

 夏の大会は総仕上げの場。ひたむきに戦い、全力を尽くしてほしい。心から応援する。(H)