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2024年04月18日(木)

卵とプリン8月から販売 龍神村の地鶏「龍神コッコ」

石﨑さん夫妻と飼育している龍神コッコ(27日、和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)=円内は一般的な養鶏卵(左)とそれより一回り小さい龍神コッコの卵
石﨑さん夫妻と飼育している龍神コッコ(27日、和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)=円内は一般的な養鶏卵(左)とそれより一回り小さい龍神コッコの卵
龍神地鶏(和歌山県畜産試験場養鶏研究所提供)
龍神地鶏(和歌山県畜産試験場養鶏研究所提供)
 和歌山県田辺市龍神村で江戸時代から飼育されていたという固有品種の龍神地鶏と、他の品種の鶏を掛け合わせた地鶏の卵の販売が、8月1日から龍神村の道の駅で始まる。2日からは、その卵を材料にしたプリンの販売が龍神村の菓子店で予定されており、卵の開発を進めてきた関係者は「卵黄が多くておいしい。プリンの味も濃いのでぜひ食べてほしい」と呼び掛けている。


 龍神村では以前から地域活性化策の一つとして、龍神地鶏と他の品種を交雑させ、新たな地鶏のブランド化を図り特産品にする取り組みを進めてきた。その一環で、龍神地鶏に関する保護研究を以前から進めてきた県畜産試験場養鶏研究所(日高川町)が、2020年度に「農林水産業競争力アップ技術開発事業」として、龍神地鶏の雄と在来鶏「ロードアイランドレッド」の雌の交雑により新たな卵用の地鶏を開発した。

 仁坂吉伸知事がこの地鶏を「龍神コッコ」と命名。今年5月に龍神村柳瀬の養鶏場「とりとんファーム」が、養鶏研究所が育てた生後120日の地鶏を平飼いで飼育し、このほど卵が出荷できるようになった。

 これに合わせて、龍神村でまちづくりを進めている「龍の里づくり委員会」や地元の生産者、商工会、観光協会、養鶏研究所などが「龍神コッコ普及協議会」をつくり、卵の販売やブランド化を進めていく。

 養鶏研究所や、とりとんファームを経営する石﨑源太郎さん(47)らによると、龍神コッコの卵は、サイズが一般の鶏卵と比べて小ぶりだが、卵黄が多くて卵かけご飯に合う。濃厚な味わいでこくがあり後味も良い。また、うま味成分のグルタミン酸の含有量は、100グラム当たり一般の卵が19・8ミリグラムに対して龍神コッコの卵は21・3ミリグラムと多いという。

 普及協議会の会長も務める石﨑さんは「現在、龍神コッコは100羽飼っているが、元気で勢いがある。卵の味が濃厚になるように、餌として与えるトウモロコシや大豆の量を他の卵用鶏より多くするなどしている。念願だった地鶏の卵が出荷できるようになった。チーム龍神としてみんなで頑張りたい。ぜひ食べてもらいたい」と言い、妻の亜矢子さん(37)は「普及協議会もできて大ごとになってきたが、頑張って飼育して龍神村の名物になるようにしていきたい」と話している。

 卵は道の駅「水の郷日高川龍游」(福井)、プリンは「菓子工房HOCCO」(甲斐ノ川)で販売する。価格は未定。卵の販売に関しての問い合わせは協議会事務局の亜矢子さん(090・9256・3907)へ。