和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月18日(日)

「『過疎』の言い換え」

 過疎地域の支援策を検討している総務省の有識者懇談会が「過疎」の代わりになる用語を検討するそうだ。過疎という言葉にマイナスイメージがあるからという。思わず「言葉の置き換えでこの問題が解決するのなら世話はない」と突っ込みたくなった▼過疎問題は、1960年代の高度経済成長期に農山漁村から大都市に若い人たちが働きに出たところから始まった。70年には議員立法で過疎地域対策緊急措置法が制定され、現行の過疎地域自立促進特別措置法に引き継がれている▼立法から半世紀、状況は深刻になるばかりだ。2015年4月現在、過疎に該当する市町村は全市町村の半数に当たる817。面積では国土の60%を過疎地が占めるが、そこで暮らす人は全人口の8・6%にすぎない。40年には、全国の市区町村の半数が人口減により消滅する可能性がある、とも指摘されている▼深刻な過疎問題とは対照的に「ポツンと一軒家」というテレビ番組が人気だ。集落から遠く離れた場所に住む人の暮らしや人生を掘り下げることで視聴者の共感を得ている▼冒頭の懇談会は「地方の豊かな自然など、都市にない特性に魅力を感じる人が増えている」とも指摘する。過疎対策の歴史を振り返ると、地域振興策やお金だけでは解決できない課題が大きいこともよく分かる。価値観の変化に解決の糸口があるのなら、そこを突破口に施策を考えるのも悪くはない。(長)