和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月18日(日)

「受動喫煙の害」

 以前、新聞の連載随筆『あと千回の晩飯』に「息する代わりにたばこをのんでいる。切れ目がないから、1日に何十本吸うか勘定したこともない」と書いたのは作家の山田風太郎▼氏は東京医科大学の出身で喫煙や過度な飲酒の害には十分な知識があった。それでも生涯、たばこと酒は手放さず、夜はウイスキー、朝は日本酒という生活を続けた。その習慣について「どこか長生きしたくない望みがあるせいじゃないか」と語っている▼ところが、この随筆に読者からクレームが付いた。たばこを吸う側の気持ちは代弁していても、煙を吸わされる側への配慮が足りないというのだ▼たしかにたばこも酒も個人の好みの問題。他人が口出しすることではなかろう。しかし公共の場となれば、そうはいかない。受動喫煙の害は広く知られるようになったし、それを防ぐための一つとして法を改正、7月から行政機関の敷地内が禁煙となった▼それを受け、上富田町は役場の庁舎や文化会館などを全面禁煙とし、従来の喫煙所は撤去した。「法の趣旨を考えれば、税金を使って新たな喫煙所を設けることはできない」という。白浜町も足並みをそろえている▼しかし田辺市は庁舎内は禁煙にするが、屋外に喫煙所を設けて喫煙者に配慮するという。それが適切かどうか▼ことは住民の健康問題。市民をたばこの害から守ろうという、もっと強い姿勢があってもいいのではなかろうか。(石)