和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月16日(月)

「妻のトリセツ」

 『妻のトリセツ』(講談社)という本がバカ売れしていると聞いて、手に取った。トリセツとは取扱説明書の略語だ▼著者の黒川伊保子さんは脳科学者で、エッセイスト。男性をちょっとコケにしながら「ウーン」とうならせる腕も見事に発揮する。女権拡張時代、これも貴重な才能だろう▼ざっくりと内容を紹介すれば、男女の脳の構造はまったく違う。だから、鈍感な日本男性は女性の意に染まぬことばかりしてご機嫌を損ねる。それで、取り返しのつかぬ不幸を招くことが多い。要するに男は鈍感の一語に尽きるということだ▼具体例にあふれ、私のように男女の機微に疎い者には「ほんまか」とうなったり、口とはまったく正反対な女性の本音に「アホくさ」とぼうぜんとしたりする▼折から今年は、直木賞の候補が全員女性になった。芥川賞も含め史上初らしい。関係者は「かつて男性の領域だった歴史もの、戦争もの、冒険ものにも女性の進出が著しい」という。男性が天与の特権と信じて疑わなかった領域を、女性がその才能でやすやすと浸食する時代なのだ▼でも欧米に比べると、日本はまだまだ遅れている。職場の管理職に女性は圧倒的に少ない。テレビで見る外国の刑事ものでも、女性の上司が部下の男性を顎で使う場面は珍しくない▼日本では今、刑事が休暇を取り、子連れ捜査に奔走する『育休刑事』が話題になっている。変化はもう目前か。 (倫)