和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月19日(木)

「描かれた滝」

 熊野那智大社の例大祭「扇祭り」が先日営まれた。ご神体である那智大滝は梅雨の長雨で水量が多く、ごう音が響き渡る参道を大たいまつが行き来した▼滝は古くから、多くの画家を引き付けた。その作品を集めた「描かれた滝」が9月23日まで、田辺市立美術館と熊野古道なかへち美術館で開かれている。「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録15周年を記念した企画展だ▼稲田米花(1890~1985)の「那智の滝図」は、滝口で三筋に分かれた水がとうとうと流れ落ちる。渡瀬凌雲(1904~1980)の「那智瀑底」は縦144センチ、横180センチの大作。滝つぼに飛び散る水は133メートルを落ちた力強さに満ちている。逆に稗田一穂画伯が描く那智大滝はどれも穏やかで、作品は静寂に包まれている▼「那智四十八滝」を代表に、紀伊半島には滝が多い。田辺市の小板橋淳さんがまとめた「紀州の滝340」(2001年、紀伊民報)は、それぞれの滝の写真やデータ、地図、現地へ行く難易度などを記している。いまは絶版になり、古書しか手に入らないが、いまでも問い合わせがある貴重な資料となっている▼その巻頭を飾る名瀑の一つ、新宮市熊野川町の宝竜滝を訪ねた。二段の滝で、一ノ滝と二ノ滝を合わせると落差は105メートル。雨で増水し、迫力ある姿を見せてくれた▼梅雨明けも間近。夏の訪れに合わせて、名瀑を取り上げる紙面も考えている。 (長)