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2019年08月18日(日)

熊楠記念館を国文化財に 文化審が答申、串本の元商家も

国登録有形文化財になる見込みとなった和歌山県白浜町の南方熊楠記念館本館=和歌山県教育員会提供
国登録有形文化財になる見込みとなった和歌山県白浜町の南方熊楠記念館本館=和歌山県教育員会提供
 国の文化審議会は19日、和歌山県白浜町の南方熊楠記念館本館や串本町串本の旧神田家別邸など県内6カ所を新たに国登録有形文化財(建造物)にするよう、文部科学相に答申した。

 熊楠記念館本館は、世界的博物学者南方熊楠が残した文献や標本類、遺品などを保存、公開している施設で、1965年4月に番所山公園内に開館した。

 鉄筋コンクリート2階建て。外観は丸みを帯びた2階のコンクリートのひさしが特徴的で、両脇に薄い袖壁があり、上に向かってすぼまった台形になっている。

 内部は、1階玄関ホールにコンクリート製のらせん階段があり、2階には展示室や貴賓室がある。貴賓室の北側は間口いっぱいの窓で、田辺湾が一望できる。多くの皇族が使用した。

 旧神田家別邸は無量寺門前に近い市街地にある。12代目の直堯(なおたか)氏が1874(明治7)年、自分の隠居所として建てたが、客の接待や祝い事、仏事などにも使った。

 神田家は山林などを多く所有し、クジラ漁なども経営した商家。52(嘉永5)年の大飢饉(ききん)の際には村人らに食料を分けるなど、多くの人々を危機から救ったという。 

 別邸は、71(明治4)年に串本町有田の稲村海岸に流れ着いた杉の巨木(周り5メートル余り、長さ5メートル余り)で造ったことから「稲村(とうそん)亭」とも呼ばれる。この巨木は地元の漁師が拾い、大飢饉の際に助けられたことに恩義を感じ、神田家に寄進したという。