和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月19日(月)

外国スタッフ雇用で働き手不足の解消へ 家事代行ベアーズの取り組み

お話を伺った株式会社ベアーズ・後藤晃氏(C)oricon ME inc.
お話を伺った株式会社ベアーズ・後藤晃氏(C)oricon ME inc.
 女性の社会進出を背景に、家事代行やハウスクリーニングといった家事支援サービスのニーズが増加している。だがその一方で、急増するニーズにサービスの提供が追い付かないといった事態が起こっている。増加し続ける需要に対し、「外国人スタッフ」の登用で働き手不足の改善に努める企業の取り組みを紹介しよう。

【画像】日本で活躍するフィリピン人メイドスタッフたち

■急増する家事代行ニーズ 課題は人材確保

 「平成28年(2016年)社会生活基本調査」によれば、日本人の6歳未満の子どもを持つ夫婦の1週間の家事などの時間(育児含む)は、男性が1.23時間なのに対し、女性は7.34時間。女性の社会進出が叫ばれる昨今においても、まだまだ家事に対する負担は女性の方が多いというのが実情だろう。

 このような状況の中、家事代行やハウスクリーニングなどの家事支援サービスが近年需要を大きく伸ばしている。経産省によると、市場規模は今後6000億円まで成長すると予測され、2020年のGDP60兆円を牽引する分野のひとつとして注目を集めている。

 だがその一方で、急増するニーズに働き手の数が追い付かず、サービスの供給が間に合わないという事態が起こっている。特に要望が集中する週末などは需給のバランスが釣り合わず、サービスを頼みたくても頼めないという状況が業界全体で続いていた。なかには急増する需要に対して供給が間に合わないと、事業撤退を余儀なくされたケースもあるほどだ。

■“外国人のサポート”が女性の社会進出を後押し?

 こうした中 、2016年に「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」が内閣府で採択された。これは家事支援の分野において、限定的に外国人労働者の受け入れを認めるというものだ。背景には14年1月の安倍首相の「多くの女性が市場の主人公となるために、家事の補助などの分野に外国人のサポートが必要だ」といった発言に代表されるよう、女性の社会進出を後押しする政府の狙いがある。

 現在、東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫の5都府県が特区に指定されており、フィリピンからの家事支援人材の受け入れが可能となっている。今年で創業20周年を迎えるベアーズは、全5都府県で事業者認定を受けている唯一の事業者だ。(2019年5月現在)

■家事代行サービスの創業 きっかけは“フィリピン人メイド”

 家事代行サービスのパイオニアであるベアーズは、日本で馴染みのなかった「家事代行」というサービスの普及と質の向上、起業サポートなどを目的に、2013年に『一般社団法人 全国家事代行サービス協会』を設立。協会を通し、内閣府へ「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」の働きかけを行うなど、業界の発展に寄与してきた。

 その創業の背景には、代表取締役社長の高橋健志氏、副社長の高橋ゆき氏の香港在住時代の経験から「すべての女性に笑顔になってほしい」という思いがあったという。

 共働きだった高橋夫妻は香港在住中に第一子を出産し、家事のサポート要員としてフィリピン人メイドを雇用した。ゆき氏はメイドのサポートのおかげもあって、家事や育児とバランスを取りながら、香港でイキイキとキャリアを積み上げることができた。

 ところが帰国後、夫妻に第二子が誕生すると状況は一変する。現在でも日本では「家政婦はリッチな家庭が雇うもの」といったイメージがあるが、当時は家事や育児を気軽に頼む習慣はおろか、行き届いたサービスすらなかった。仕事と家事・育児に追われ、笑顔を失っていくゆき氏の姿から、健志氏は「日本を変えたい」と決意し、起業に踏み切ったという。

 同社のマーケティング本部本部長・後藤 晃氏によると、「アジアではトップクラスで女性の社会進出が進む香港では、中流家庭でもごく一般的にメイドを雇う文化が定着している」という。

 フィリピン人メイドに助けられた経験がきっかけとなり、起業に踏み切ったベアーズ。いまでは日本人スタッフのほかにも約150名のフィリピン人スタッフを雇用するなど、積極的な外国人スタッフの登用を行っている。(※2019年5月時点)

 増え続ける需要に働き手の数が追い付かず、人手不足が業界全体の課題となっている家事代行サービス。実は、このような状況に対し外国人スタッフが一役買っているという。

 「フィリピンは国家施策として積極的にメイドを海外に送り込んでいる、メイド大国です。国民性ならではのホスピタリティや明るさはもちろん、メイドとしての技術も高く、ご依頼いただいた方から選任スタッフとして定期契約をいただくことも多い。弊社としても創業以来、特に週末などの繁忙期は働き手が確保できずお客さまのご要望に追いつかない状態もあったのですが、フィリピン人スタッフの活躍で、現在はほぼすぐに派遣できるよう改善を進めることができています」(後藤氏・以下同)

 フィリピンは英語が公用語であり、「子どもに外国語に触れさせたい」とフィリピン人スタッフを要望するケースも多いという。もちろんフィリピン人スタッフへ日本語のトレーニングは徹底的に行っているそうだ。

■“精神的なケア”も雇用側の大切な務め

 では、多くの外国人スタッフを受け入れる上で、気を付けなければいけないことはあるのだろうか。

 「語学はもちろんですが、日本の文化についても教育しています。たとえば神棚を拭くときには、白い手袋をしてきれいで柔らかいガーゼを使うとか、敷居はまたいではいけないとか。これはもちろんお客さまに気持ちよくサービスを受けていただくためでもありますが、一方でフィリピン人スタッフが依頼先で傷ついたり、嫌な思いをしないためでもあります。いかにフィリピンがメイド大国とはいえ、文化も環境も違う外国で働いてもらう上では、生活面のサポートだけでなく、精神的なケアも雇用側の大切な務め。そのためにも日本人スタッフも外国人スタッフも同じ仲間である、という意識や空気を社内に醸成することはとても大切です」

 労働人口が減りゆく日本において、女性の社会進出や外国人材の受け入れは、あらゆる業界において今後ますます進むだろう。現在、そして未来の日本の写し鏡とも言える家事代行サービス業から、他業界にとっても学べることはたくさんありそうだ。

(文/児玉澄子)

【調査概要】
調査時期:2019/01/04~2019/01/21
調査対象:合計1,567名(過去3年以内にハウスクリーニングを利用したことがあり、事業者と依頼サービスの選定に関与し、実際に発注をした人で、当日、掃除現場に立ち会った人)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査 (オリコン顧客満足度調べ)

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提供:oricon news