和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月18日(日)

「森林保全への努力」

 全国森林環境税創設促進議員連盟が解散を決めた。森林環境税と森林環境譲与税が創設されて目的が達成されたからという。それを伝える記事を読んで、古い記憶がよみがえってきた▼1991年、全国に先駆けてこの制度を提唱したのは、当時の本宮町長、中山喜弘氏。木材価格が下落し、過疎化が進んで森林整備を担う人も財源も枯渇しつつある山村の現状に危機感を抱いて声を上げた▼訴えは同じ悩みを抱える各地の山村に広がり、352の議会が加盟した。三重や和歌山県の知事らも運動を支援。その中から国による「緑の雇用政策」なども生まれた▼中山さんも提言だけでなく、提言を先取りする形で林業振興につながる施策を次々と打ち出した。熊野古道を「よみがえりの道」とアピールし、古道沿いの山林を購入して整備。山仕事に女性ボランティアの参加を呼び掛ける「山の神汗かきツアー」を企画し、人工林の間伐も進めた▼当時、朝日新聞の記者だった僕は、地方から声を上げて政治を動かそうという姿勢と主張に共感。本宮町に中山さんを訪ね、記事や社説などでその活動を発信した▼いま、山村の現状ははるかに深刻になっている。山主は木材価格の低迷に苦しみ、山仕事の後継者もほとんどいない。林業技術の継承もおぼつかない▼そういう時代に行政は何をなすべきか。新たな税の創設を機に、山村の明日を開く新たな施策と哲学が求められる。(石)