和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月18日(月)

食用油の4回目の値上げに「仕方がない」7割、 “企業努力”だけでは限界も? 安定供給を第一に進むメーカーの心情

「食用油」の値上げについて「仕方がない」と回答する人が74.8%だった (C)oricon ME inc.
「食用油」の値上げについて「仕方がない」と回答する人が74.8%だった (C)oricon ME inc.
 今年度4回目の値上げが発表されている食用油。単体としての需要はもちろん、マヨネーズやお菓子など様々な食品にも含まれている油は、我々の“食”に欠かせない存在となっている。相次ぐ値上げの理由としては、大豆、菜種、パーム油といった原料の高騰が続いており、世界的な需給がひっ迫しているから。コロナ禍における国内経済の正常化への影響も懸念されている。ORICON NEWSでは相次ぐ食用油の値上げについて家計への負担をどう考えるか意識調査を行ったところ、74.8%が「仕方がないと思う」と回答する結果となった。

【調査結果】食用油だけではない相次ぐ物価の上昇、家計を守るためにどんな行動をとる?

■ユーザーが最も抑えるべき支出は「食費」、バイオ燃料としての需要増が物価上昇の背景に

 価格改定の主な要因は、原料価格の高騰。コロナ禍からいち早く経済活動を再開した中国において、食の需要が急増している。また、温室効果ガスの排出量削減の動きに伴い、バイオ燃料としての需要も大きくなっている。これまでの原料価格相場の上下要因となっていた“天候事情”や“作付面積”の問題とは大きく異なる、“バイオ燃料としての需要増”が新たな要因となり、食とエネルギーにおいて奪い合いが生じてきている現状がある。

 ORICON NEWSが今回行った意識調査(10代~60代の男女1000名に実施)では「物価の上昇に対して、どの部分の支出を抑えようと考えていますか?」の問いに対して、1位が食費(50.0%)という結果に。家計を守るための対策として、「特売をチェックする」(56.7%)、「高騰しているなかでも、手ごろなものを買いだめする」(34.7%)、「ポイント制度などを活用して上手に購入する」(32.8%)という意見が上位を占めた。

 食用油の値上げについては、74.8%の過半数が「仕方がないと思う」と答えたが、「仕方ない、しょうがないと諦めている」(50代男性)、「安心安全を買う値だと思われる」(50代女性)と割り切って考えていると思われるコメントが多く集まった。ただしそれは、あくまでも“今”の現状に対して。「コストアップの一定分を消費者が負担するのはやむを得ないと思います。ただ、この状況が改善したら、ぜひ値下げを行って欲しいと考えます」(60代男性)といった値下げの検討をしてほしいという要望も見られた。

■「食用油の安定供給を第一に、と考えている」メーカー側が持つ責任と使命感

 家庭用食用油のリーディングカンパニー・日清オイリオグループ広報の鈴木裕也氏は、今回の値上げについて「日本の食に与える影響の広さも重々承知したうえで、それでも食用油の安定供給を第一に考え、価格改定を発表した」と話す。

「価格についてはもちろん安定しているに越したことはないだろうと、私も生活者の一人として思います。ただし、何故価格改定が必要なのか、その理由が明らかな場合はしっかり理解して受け入れたい。これも生活者の一人として思うところです。食用油は人間の根源ともいえる『食』の源泉に位置する商品であり、だからこそ、メーカーとして常に自助努力を欠かしてはならない。ある意味、ライフライン業務にも近しい食品を扱っているという大きな責任と使命感が大きいかもしれません。

 私たちが考える“真の怖さ”とは、お客さまに食用油を供給できなくなること、供給できなくなるかもしれない可能性が流布してしまうことです。今日も明日も、当たり前にこの国の食に油が貢献できていなくてはならない。だからこそ今回のケースも含め、何かあったときには隠さずに、その情報を正確に伝えていく情報の透明性こそ広報部門として大事にすべきだと考えています」

 食用油に限らず、バターやマーガリンなどの加工食品、菓子類、青果、飲食店のメニューなど、様々な食品の値上げが進んでいる。原材料の価格上昇の度に食品の値上げも行われるため、しばらくは家計の負担が増えるのは確実と言える。

 こうした事態になった時、できるだけ消費者のマインドを悪化させないよう、価格は据え置きのまま容量を減らす「実質値上げ」が過去には横行していたこともある。しかし、内容量の減少に消費者は敏感に反応し、実施したメーカーに対するネガティブな印象は根強く残る。今回ORICON NEWSが実施した調査でも「中身を減らすのはやめてほしい。値上げしてもいいので、内容量は減らさないで」(20代女性)、「価格を抑えるために原材料の品質を落とすようなことはしないで欲しい」(50代女性)といった声もあった。

「意識調査では、品質管理に言及いただいているお客さまも多くいらっしゃいました。私どもは『大切なお客さまに自信をもって食べていただく』ことを意識しながら、日々その品質管理に取り組んでいます。今回の価格改定の要因となっている原料価格高騰において、そういった品質管理に関わるコストや環境対応・対策コスト、業務を無理に削減する方向で動く想定はしておりませんので、どうかご安心いただければと考えます」(同社・鈴木氏)

■国内大手製油メーカーが協同の動き「オールジャパンで課題に対峙していく」

 油の価格が上昇する背景として新たにあげられる、バイオ燃料の需要増。今後の課題となる「食とエネルギーの奪い合い」の状況について、国内では注視すべき動きがある。同じ製油メーカーの日清オイリオグループとJ-オイルミルズは、搾油工程で連携する旨を今年5月に発表した。

 マーケティング、技術力など、競うべきところは競い、基本的な搾油工程部分については連携する。国内大手メーカー同士が協同することで、将来にわたって安定供給をめざしていきたいという考えだ。日清オイリオグループの鈴木氏は「サステナブルな観点で検討した際には両社において今回発表した取り組みが必然だったと思います」と話す。現在、両社は岡山県倉敷市に工場を持っており、西日本エリアにおける搾油合弁会社設立に向けた検討を開始しているという。

「製油業界に限らず全ての企業が、いま温室効果ガスの抑制につとめることを目指している現状があります。震災や自然災害が発生した際の事業継続計画においても、互いの安定供給を前提としたカバーも可能になると考えます。J-オイルミルズさまと当社だけの話ではなく、製油業界が引き続き向上するためにも、メーカーとして競争している部分はそのまま高めつつ、ともに手を携えられるところはオールジャパンで課題に対峙していく。お客さまには一層安心していただける考え方ではないでしょうか」

 スーパーの売り場に向かうと、昔とは比較にならないほど豊富な種類の食品が並んでいる。食用油においても同様で、調理のために使われる油だけではなく、オリーブオイル、アマニ油、えごま油、MCTオイルなど、調理した食材にそのままかけてオイルを取る方法も主流となり、市場はさらに成長し、多様化している。

 未来の食卓がどう変化を遂げるかは分からないが「10年先、100年先も食卓に食用油が『当たり前の様にそこにある』ことこそ、製油業界が目指していく理想」と話す。

「すべての取り組みは『安定供給に向けた取り組みをお客さまと共創していくこと』に繋がります。1907年の創業以来、110年以上油脂に携わってきた当社の知見と、信頼を築いてきたパートナー、取引先さまとの頼もしい関係値、そして時に競合とも手を携える大胆さをもって、今後も何よりもお客さま、環境問題と向き合い、『生きるエネルギー』である食用油の提供をお約束します」

【調査概要】
調査時期:2021年月9月15日(水)~9月21日(火)
調査対象:直近半年で食品値上のニュースを見聞きしたことがある 1000名(自社アンケートパネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代~60代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ

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提供:oricon news