和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年07月05日(火)

落ちアユ追い込む炎揺らぐ 古座川で伝統の火振り漁

水面近くでたいまつを振る男性ら(和歌山県古座川町月野瀬で)
水面近くでたいまつを振る男性ら(和歌山県古座川町月野瀬で)
網に掛かったアユなどの魚
網に掛かったアユなどの魚
 和歌山県古座川町を流れる古座川で、秋の風物詩として親しまれている「火振り漁」が始まっている。川舟の上からたいまつを振り、アユを網に追い込む伝統漁法。夜のとばりが降りた清流の川面を揺らぐ炎が幻想的に染めている。

 産卵で川を下る「落ちアユ」を狙った漁法。明治時代に山口県から出稼ぎに来た林業家が地元の人に教え、大正時代に広まったといわれている。

 古座川漁協によると、火振り漁の漁期は9月20日~12月末。2、3人が一組となって川舟に乗り込み、まず川に網を仕掛けた上で、舟を操ったり、たいまつを振ったりする作業を分担して漁をする。昔はスギの葉などに火を付けて振っていたが、今はほとんどが灯油を湿らせた布を燃やしているという。

 毎年一緒に漁をしているという杉尾行久さん(46)=古座川町高池=と杉尾延弥さん(64)=同町月野瀬、山﨑誠造さん(64)=同町池野山=のグループは今シーズン、10月初旬から始めた。

 8日には同町月野瀬の古座川で今季5回目という漁をし、真っ暗になる前に網を仕掛けた後、延弥さんがたいまつに火を付け、水面近くで振りながらアユを驚かせ、網に追い込んだ。1時間ほどの漁で、体長20センチほどのアユ約30匹を捕獲した。

 行久さんは「子どもの頃からやっていて、たくさん取れるとやっぱりうれしいし、アユを楽しみに待ってくれている人もいる。アユがどこにいるかを見極めるのが難しく、そこが腕の見せどころ。これからも続けていきたい」と話していた。10月末ごろまでが最盛期という。

 漁協によると、火振り漁は漁協の正組合員が鑑札を購入して漁をしている。昔は大勢がしていたが、高齢化などの影響で今季は4組のみになっているという。