和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月18日(月)

白浜町に549万円支払い命令 小学校建て替え工事巡り紛争審査

議会全員協議会で紛争審査会の仲裁判断を説明する井澗誠町長(左)=12日、和歌山県白浜町役場の議場で
議会全員協議会で紛争審査会の仲裁判断を説明する井澗誠町長(左)=12日、和歌山県白浜町役場の議場で
建て替える前の白浜第一小学校(2014年12月撮影)
建て替える前の白浜第一小学校(2014年12月撮影)
 白浜第一小学校の校舎建て替え工事に関連する費用を和歌山県白浜町が支払わないのはおかしいとして、工事を請け負った喜多工務店(白浜町)とテンコーライフ(田辺市)の共同企業体が県建設工事紛争審査会に審査を申し立てていた問題で、審査会が業者側の主張を一部認め、町に549万2490円の支払いを求める仲裁判断を出していたことが明るみに出た。


 町は12日、この件を町議会全員協議会で報告。井澗誠町長は「問題の解決に向けて誠心誠意取り組むべきだった。(町に支払いを求める)仲裁判断に至ったことは深くおわびしたい」と述べ、責任を明らかにするため、一定期間、自身の給与を減額する方針も明らかにした。

 議員からは「町の対応に問題があったのではないか」と批判する発言が相次いだ。

 仲裁判断が出たのは8月31日付。法律上、審査会が出した仲裁判断は訴訟の確定判決と同じ効力を持ち、内容について裁判所では争えない。さらに全額を支払い終えるまでは一定の金利を上乗せして支払うようにも明記している。

 業者側が審査会に申し立てたのは2017年6月。当初は調停だったが、18年11月に和解が不成立となり、翌12月に仲裁へ移った。仲裁委員は弁護士や建築士らが務めた。

 審査会での主な争点は(1)取り壊し前の旧校舎で見つかったアスベスト(石綿)除去の際に要した飛散防止壁の広さ(2)現場から出る残土処分量―の二つ。これについて、仲裁審査で業者側は計約3148万円の支払いを求めたが、町は「支払う義務はない」と主張していた。

 審査会は、飛散防止壁については契約に基づく設計書に記載されている「2958平方メートル」と認定。町の「1114平方メートル」という主張は「裏付ける証拠がなく、採用できない」とした。この認定に基づき審査会は約549万円の支払いを町に命じた。

 残土処分については、双方が合意していた「2823立方メートル」に、関連する工事で出た残土を足した計3028立方メートルと考えるのが相当だと認定、業者の主張した量は採用しなかった。設計段階とは異なる現場の状況を認識していながら協議を怠った責任については、業者と町の双方にあるという考えを併記した。

 白浜第一小学校の建て替えは、15年3月~17年3月の事業。契約額は11億3819万円だった。アスベストの存在が発覚したのは、最初の契約を結んだ後の15年4月だったため、町と業者は内容を変更して契約し直した。

 自治体が発注する公共工事で請負業者が紛争審査を申し立てることは極めて異例。自治体側が事実上、敗れるという結果は、さらに珍しい。当初の計画と異なることなど何らかの疑義が生じることがあっても、大抵は双方の協議で解決されている。