和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月19日(木)

「不祥事の対応」

 先日「空飛ぶタイヤ」という映画を見た。池井戸潤の小説を本木克英監督が映画化したもので、大手自動車メーカーのリコール隠しを題材にしている▼主人公の経営する運送会社のトラックがタイヤの脱落事故を起こし、死傷者が出る。原因は整備不良とされるが、納得できない主人公が真相究明に走り、製造段階で欠陥があったことを突き止める。やがて自動車メーカー側の内部告発もあり、事実が明るみに出る。メーカーは業績が悪化し、他の会社に吸収合併されるという物語だ▼不祥事が起きた時、不都合な真実を偽装したり隠蔽(いんぺい)したりすると、社会的信用をなくしてとんでもないしっぺ返しを食らう。逆に事実を速やかに、つまびらかに公表し、誠意ある対応に努めるとダメージは最小限に抑えられる。過去の事例から学ぶ教訓だが、大企業であっても実践できないことが多い▼最近の例では、振り込め詐欺グループのパーティーに参加していた人気芸人の「闇営業」問題。渦中の芸人は当初、金銭授受を否定していたが、後に事実を認めて騒ぎが大きくなった。その後、独自に謝罪会見を開いて経緯を説明すると、今度は批判の矛先が所属会社の経営陣に向かった▼風向きが悪くなった社長は対応のまずさを認め、芸人の処分撤回と自らの減俸を公表したが、世間の反応は厳しい。芸人たちの信頼も失ってしまった。初期対応を誤った代償は大きい。(河)