和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月05日(土)

宇宙飛行士の毛利さん講演 ロケット発射場開始に向け串本町

ディスカッションをする毛利衛さん(右)や田嶋勝正町長(右から2人目)ら=10月31日、和歌山県串本町串本で
ディスカッションをする毛利衛さん(右)や田嶋勝正町長(右から2人目)ら=10月31日、和歌山県串本町串本で
会場に展示された宇宙服や模型などを見学する来場者
会場に展示された宇宙服や模型などを見学する来場者
 和歌山県串本町田原にできる日本初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」開始プレイベントとして10月31日、宇宙飛行士の毛利衛さん(73)を招いた講演会「人と社会の夢をのせて」が同町串本の町文化センターであった。参加した町民ら約250人がロケットや宇宙などについて学び、田嶋勝正町長が「来年打ち上がるロケットの光は、串本だけでなく、紀南を、和歌山県を照らし輝かせる光になる」と呼び掛けた。


 10月30日に始まった「紀の国わかやま文化祭2021」の一環で、町や文化庁などの主催。コロナ禍の影響で、参加対象者を町民や町内在勤者に限って開いた。

 毛利さんは、1992年と2000年にスペースシャトルミッションに取り組み、現在は全国科学館連携協議会会長などとしても活躍。この日は「宇宙からの贈り物」とのテーマで講演し、宇宙での経験や地球の大切さなどについて話したほか、小型ロケットで人工衛星を打ち上げるスペースポート紀伊にも期待を寄せた。

 南紀串本観光協会ガイド部会の坂本直弥さんが、スペースポート紀伊やそこから打ち上げられる小型ロケット「カイロス」について紹介したのに続き、毛利さんや田嶋町長、坂本さん、串本ふるさと大使の南瑠霞さんがディスカッション。串本の特産を活用した宇宙食について、来場者もアイデアを出して夢を膨らませた。

 毛利さんは「ロケットの打ち上げはすごくきれいなので、将来的には年間20回ぐらいと聞いており、うらやましい。串本は世界に新たないろんなことを提供する最先端の場所になる。世界に誇るいろんなものをこれから発信してほしい。他の人の人工衛星を打ち上げるだけでなく、串本町の役に立つ人工衛星もアイデアを募ってぜひ打ち上げてほしい」などと呼び掛けた。

 センター2階には宇宙航空研究開発機構(JAXA)から借りたロケットなどの模型や宇宙服、田辺市中辺路町在住の造形作家・石田貴志さんが串本町に寄贈したカイロスの模型、町の公式サポーターとなっている人気漫画『宇宙兄弟』のメインキャラクターと一緒に記念撮影できる「フォトスタンディ」などを展示。

 また、同町串本にある串本古座高校CGS(地域包括的支援)部のメンバーも訪れ、カイロスをモチーフにしたオリジナルキャラクターの缶バッジを毛利さんや来場者にプレゼントして催しを盛り上げた。

 講演後にロケットの模型を見学していた同町潮岬の男性(41)は「毛利さんが言われていた地球環境の大切さが心に残った。ロケット事業で人口が増えるなど町の発展につながればうれしい」。フォトスタンディと記念撮影をしていた同町中湊の中学3年生、佐藤薫君(14)も「毛利さんを間近に見ることができて楽しかった。ロケットの打ち上げがめっちゃ楽しみ」と笑顔を見せた。