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2022年05月29日(日)

田辺市文化賞に染谷さん、安井さん 読書活動振興と「小栗伝説」研究

(左から)染谷文代さんと安井理夫さん=いずれも田辺市提供
(左から)染谷文代さんと安井理夫さん=いずれも田辺市提供
 和歌山県田辺市は5日、市の文化発展に貢献した個人をたたえる市文化賞を、長年にわたり子どもたちへの読み聞かせ活動や視覚障害者の学習支援に取り組んできた染谷文代さん(91)=田辺市上屋敷2丁目=と、市ゆかりの「小栗判官物語」の研究、伝承に努めてきた安井理夫さん(86)=白浜町堅田=に贈ると発表した。

 染谷さんは神奈川県出身。結婚を機に田辺市に移住した。

 1985年に「田辺おはなしの会」を立ち上げ、田辺市立図書館で読み聞かせ活動を開始。23年間にわたって代表を務めた。市内の小学校や幼稚園、児童館にも出向くなど、子どもたちが本に親しむ機会を多くつくってきた。

 また、視覚障害者の学習支援のため、94年に「図書館ボランティアの会『ともしび』」を設立。県立紀南図書館で録音図書の制作などに取り組み、21年間代表を務めた。

 そうした活動が認められ、2020年には図書館活動に功績のある人をたたえる文部科学省の「図書館法施行70周年記念図書館関係者表彰」を受けた。

 染谷さんは「同じ志で活動している仲間たちが大勢おり、その方たちの代表として頂くものと思っている。地味な活動だが皆さまに支えられ、長く続けたいと願っている」とコメントした。

 安井さんは東牟婁郡四村(現田辺市本宮町湯峯)出身。約40年間にわたって小中学校の教壇に立った後、父が創業した民宿「小栗屋」を経営しながら、地元ゆかりの「小栗判官物語」の研究、伝承に取り組んだ。

 小栗判官物語は、妻・照手姫の一門に殺された小栗が、閻魔(えんま)大王の計らいで相模国(神奈川県)から熊野まで運ばれ、温泉によって元の姿に戻ったという物語。1991年には岐阜県大垣市ら物語ゆかりの地の関係者らと「小栗フォーラム」を結成し、各地でサミットを開いてきた。現在は「小栗街道」の復元に向けた活動をしている。

 安井さんは「三十余年にわたり『小栗判官物語』を研究し、機会のあるごとに物語の神髄にある熊野信仰と併せて熊野の文化や自然の素晴らしさを紹介させていただいたことは、この地方の観光振興の一助となったものと信じている」とコメントしている。

 市文化賞は、旧田辺市で1970年に創設した制度を継承しており、52回目。受賞者は今回を含め78人となる。

 贈呈式は19日に市役所である。