和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月19日(月)

読書のすすめ この夏、世界を広げよう

 夏本番。夏休みの子どもとの過ごし方に悩んでいる方々に、子どもと一緒の読書を推薦したい。本を開けば自宅にいながら未知の世界を「冒険」できる。

 文部科学省の2018年度の調査によると、県内の公立学校で授業以外に全く読書をしない小学6年生が19・6%(全国平均18・7%)、中学3年生は40・8%(32・9%)もいる。

 高校生になると、さらに本との距離が遠のく。全国学校図書館協議会などの17年度の調査では、1カ月間に1冊も本を読まなかった高校生が平均50・4%。

 読書をしない原因にはスマートフォンの普及、部活動や進学準備などが考えられる。協議会の調査で中高生が挙げた理由には「読む時間がない」「何を読んだらいいか分からない」が多かった。

 それでも夏休みは、自由研究や読書感想文などで本と向き合わざるを得ない。きっかけは宿題でも、スマホやゲームを本に持ち替える好機である。家庭や学校、図書館には、子どもと本との豊かな出合いを演出してもらいたい。

 県内の図書館でも取り組みが広がっている。みなべ町立図書館は、高校生が推薦する本を書店の新刊コーナーのように「ポップ」とともに展示した。

 岩出市立図書館は子どもを中心に家族で同じ本を読んで、読んだ本について話し合う「家読(うちどく)」を進めている。図書館が作成した「うちどくノート」には、学年に応じたブックリストを掲載。選んだ本を家族で読み、ノートに子どもの感想や家族のコメントなど読書の記録を書く。家庭でのコミュニケーション不足解消の狙いもあるという。

 本紙も子どもも大人も楽しめ、共通の話題ができそうな本を何冊か紹介したい。

 「ぼくらの七日間戦争」は夏休みの始まる前日、中学1年生の同じクラスの男子全員が廃工場に立てこもり、大人に「反乱」を起こす。30年以上も前の作品だが、アニメ映画化が決まっている。

 「幕が上がる」は地方の高校演劇部が舞台。部員たちが一つのせりふに葛藤しながら、全国大会を目指す。演劇活動に熱中する高校生の姿が存分に味わえる。

 シリーズものを一気に読み進めるのも面白い。「十二国記」は、異世界ファンタジーの形をした人間ドラマ。少年少女の成長や政治家の苦悩といった物語から「生きる意味」や「信じる強さ」などを問い掛ける。すでに9作が刊行されている。

 戦争と平和に思いを巡らせるには「それでも日本人は『戦争』を選んだ」が面白い。東大教授による中高生への日本近現代史の集中講義で、明治以降の対外戦争を題材に、政治家や軍人、一般市民が参戦を判断した思考に迫る。

 読書には国語力を養い、知識や語彙(ごい)を豊富にする効能がある。生きることの意味、心の糧を与えてくれることもある。わくわくできる1冊を見つけられたら、そこから世界が広がるはずだ。(K)