和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月19日(木)

「台風娘」

 先週の台風6号は、大きな被害もなく去ってくれたが、わが家には別の台風が居座っている。本物の逃げ足の速さに比べ、こちらは3週間と長尻だ▼獅子文六の短編に「台風娘」があるが、わが家もこの「娘台風」にやられているのだ。しかも高校生の孫娘二人の「豆台風」も伴っているから、被害はより甚大だ▼高齢者の二人暮らしにとっては、まったく異質者の襲来である。娘と意見が対立すると、カミさんも私への「放し飼い策」を放棄する。微妙に立ち位置を修正し、娘寄りになるのだ。こうなると、4対1で私は孤立する。とくに口うるさいのは服装と食事のマナーだ。娘の主張が常識なら、私流は随分世間とかけ離れている▼反省の一助にとすすめられ、エッセイスト・群ようこ著『じじばばのるつぼ』を読んだ。題名を「じじい」「ばばあ」にすれば、高齢者の差別語になりそうなので、一字ずつ省いたのだろう▼それにしてもおかしな「じじ」と「ばば」が続出し、高齢者には痛烈である。見出しを幾つか見るだけで、中身は想像できよう。いわく「痴じじ、痴ばば」「おれ様じじ」「不潔じじ」「圧顔ばば」などなど▼高齢者は仲間同士で群れ集い、「近頃の若者は」などと大いに盛り上がるが、言われる側の知らないところで、こんな「じじばば論」があったのか。この本の読了が台風娘の功徳だとすると、あと何日か指折り数えて我慢するしかない。(倫)