和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年12月04日(土)

自転車持ち込めます 田辺―新宮、サイクルトレイン本格導入

紀勢線の紀伊田辺―新宮の「サイクルトレイン」を通年実施すると発表するJR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長(24日、和歌山県庁で)
紀勢線の紀伊田辺―新宮の「サイクルトレイン」を通年実施すると発表するJR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長(24日、和歌山県庁で)
 JR西日本和歌山支社は24日、和歌山県の紀勢線紀伊田辺―新宮の普通列車で実証実験中で、追加料金なしで自転車を持ち込める「サイクルトレイン」を、12月から本格導入すると発表した。実証実験は9月から11月末まで実施しており、安全性が確認でき、利用者からも継続の要望があった。


 松田彰久副支社長らが県庁内で記者会見を開いて発表した。この区間の利用促進を図る狙い。県からも、環境整備に力を入れているサイクリング推進の一環として、要望を受けていた。

 同様のサービスは全国でみられるが、予約や追加料金不要、自転車を解体せずそのまま持ち込めるのは珍しいという。紀伊田辺―新宮のどの駅でも利用できる。12月以降は、平日の利用できる時間を実証実験期間より延長し、午前9時から終電までとする。土曜、休日は終日使える。

 11月21日まで82日間の自転車持ち込み利用者数は1118人で、1日平均は14人。土曜や休日は平均33人と多く、直近の日曜(21日)は最多の60人が利用した。新聞や会員制交流サイト(SNS)、ポスターなどで知ったという人のほか、口コミも広がり、利用者数は増加傾向にあるという。

 利用者にアンケート(15日まで)したところ、居住地は紀南35・6%、大阪府22・6%、紀北13・8%、中部地方7・9%、紀中6・5%などと地元や近隣が多かったが、関東地方や中国地方からの利用もあった。目的はサイクリングが94・2%とほとんどで、あとはショッピングが3・6%、仕事・学校が2・2%だった。

 満足度は5段階で「5」と答えたのが63・7%で、「4」を合わせると89・0%。「つらくなれば自転車ごと電車に乗れる安心感がある」「(解体せず持ち込めるので)自転車を何回も組み立てたり収納したりしなくてよい」などと好評を得た。

 ただ、「乗車位置が分かりにくい」や「駅に段差があって利用しにくい」などの意見もあった。このため、支社は表示の充実やスロープ設置などを進めるほか、橋や地下道の移動が必要な駅、混雑しやすい電車などを示す時刻表を各駅に掲示する。また、利用できる区間を拡大してほしいという要望もあることから、検討したいとしている。

 支社によると、2020年度の新宮―白浜の利用者は特急列車を含め1日平均608人。これまでも16年度1252人、17年度1222人、18年度1173人、19年度1085人と減少傾向にあったが、新型コロナウイルスの影響でさらに大きく落ち込んだ。

 松田副支社長は「極めて厳しい利用状況」とした一方「サイクルトレインの実証実験で、2%ほど利用客が純増した。ローカル線が生き残っていく手段の一つとして、この事業を成長させていきたい」と話した。