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2021年05月15日(土)

大塔山系を自然公園に 和歌山県、生態系や景観保護

大塔山の山頂付近
大塔山の山頂付近
青線内は県が県立自然公園への指定を目指す大塔山系
青線内は県が県立自然公園への指定を目指す大塔山系
 県は田辺市と古座川町、新宮市にまたがり、地域固有種を含めた希少な生物が多く生息する大塔山系(約1万ヘクタール)を、県立自然公園に指定する方針を立てている。生態系や景観を保全しながら、登山などの観光資源としての活用を促進する狙い。県環境審議会に諮問しており、来年3月の指定を目指している。


 指定されれば県立自然公園は12カ所目となる。審議会に提出している「指定書案」によると、「大塔山県立自然公園」(仮称)は、私有地約5千ヘクタール、国有地約3千ヘクタール、県有地約2千ヘクタール。田辺市、新宮市、白浜町の「大塔日置川県立自然公園」(5001ヘクタール)や白浜町、すさみ町、古座川町の「古座川県立自然公園」(6241ヘクタール)の一部を取り込み、面積は古座川県立自然公園を上回って最大となる見込みという。

 大塔山系は大塔山(1122メートル)、法師山(1121メートル)、百間山(999メートル)、入道山(1010メートル)、野竹法師(971メートル)、ゴンニャク山(946メートル)などの山々からなり、前ノ川(日置川水系)、安川(同)、大塔川(熊野川水系)、古座川などの渓流が渓谷や滝を形成している。

 大塔山頂には本州南限となるブナ林が広がり、ブナとアカガシが混合する特徴的な森がある。また、国の絶滅危惧種であるトガサワラの日本最大級の生育地で、サクラ属として約100年ぶりに新種と発表されたクマノザクラも広く分布。大塔山頂は、熊野地域だけに見られる甲虫ナンキセダカコブヤハズカミキリの生息地として県天然記念物に指定されている。県絶滅危惧種のツキノワグマ、ノレンコウモリ、クロホオヒゲコウモリ、県天然記念物でもあるオオダイガハラサンショウウオ、国特別天然記念物のニホンカモシカなどの希少種も多く生息する。

 県はこれらの自然環境による地域固有種の多様性を守ろうと、県立自然公園の指定を検討。昨年10月、有識者でつくる県環境審議会に諮問した。今秋に県民から意見を聞き、国や関係市町などから同意を得た上で指定する。

 指定されると、景観や自然環境保全のため、区域によっては、樹木や竹の伐採、建築物や風力発電施設、太陽光発電施設、広告物などの設置が制限される。一方で、景観に配慮し、安心して利用してもらえる登山道整備などに取り組みたいという。