和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年04月26日(金)

公民館活動や自治考える 田辺市龍神村で地域シンポ

公民館活動の在り方について講演する和歌山大学の西川一弘准教授(和歌山県田辺市龍神村安井で)
公民館活動の在り方について講演する和歌山大学の西川一弘准教授(和歌山県田辺市龍神村安井で)
公民館の分館ごとに意見をまとめて発表した
公民館の分館ごとに意見をまとめて発表した
 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神公民館は11日、龍神村の未来を語り合う「地域シンポジウム」を公民館の事務所がある龍神市民センターで開いた。龍神公民館の7分館の運営委員が、分館ごとに人口減少や空き家問題などの課題や解決策などについて意見を交わし、これからの公民館活動や自治について考えた。

 市教育委員会生涯学習課が、2023~27年度の「第2次田辺市生涯学習推進計画・後期基本計画」と、公民館活動の方針となる「第2次田辺市地域生涯学習計画・後期計画」の策定に取り掛かっている。龍神公民館としても、両計画を基に活動を進めていくことから、今後のよりよい公民館活動と地域づくりができるよう、住民の意見を聞こうと地域シンポジウムを開いた。

 まず龍神公民館の吉本圭佑公民館主事が、龍神村の生涯学習計画に基づく取り組みの成果と課題について発表。18~20年度の公民館活動を振り返り、活動の進み具合や今後の課題についても述べた。

 和歌山大学紀伊半島価値共創基幹Kii―Plusの西川一弘准教授による「次の田辺を共に創る!自治を支える学習」をテーマにした講演もあった。西川准教授は、これからは地方創生の館として公民館を輝かせ、龍神村らしい自治を進める拠点としていくことが大事だと強調。

 公民館の原点にいま一度立ち返るべきだとして、文部省(当時)官僚がかつて打ち出した公民館の機能として、民主的社会教育機関▽親睦交友を深める機関▽郷土の産業振興機関▽民主主義の訓練場▽中央と地方の文化交流の場▽郷土振興の機関▽全町村民を対象とする機関―の七つを紹介。他に、当日の資料として提供された地元の人口や世帯数などのデータについて、その読み取り方や気になったことについて調べる方法なども伝授した。

 参加者は、この講演を聞いた上で7分館に分かれて、公民館活動の在り方や地域の目標、課題について話し合うグループワークを実施。地域で自慢できることや課題、知りたいことや学びたいこと、課題解決のために自ら関われることについて話し合った。

 まとめた内容について、分館ごとに順番に発表して西川准教授が最後に講評した。

 発表の内容は、少子高齢化やコロナ禍で少なくなっている人と出会う機会をもっと増やす▽古老から歴史を聞いて地域をもっと知る▽空き家の調査をする▽高齢者の見守りをする▽移住者の受け入れを促進する▽コロナ禍で減った行事を復活させる▽災害史をまとめて伝える▽地域の行事に積極的に参加する▽休耕地をシルバー人材センターに依頼して耕してもらう▽若者の定住を促進する―などがあった。