和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月07日(月)

災害時の避難所に みなべ町が愛之園こども園と協定

一時避難所などとしての使用に関する協定を結んだ小谷芳正町長(右)と神谷羊子園長=和歌山県みなべ町芝で
一時避難所などとしての使用に関する協定を結んだ小谷芳正町長(右)と神谷羊子園長=和歌山県みなべ町芝で
高台の防災拠点エリア内に建てられた「みなべ愛之園こども園」の園舎(和歌山県みなべ町南道で)
高台の防災拠点エリア内に建てられた「みなべ愛之園こども園」の園舎(和歌山県みなべ町南道で)
 和歌山県みなべ町は14日、今春開園の「みなべ愛之園こども園」を津波発生時などに住民の一時避難所や福祉避難所として利用できるよう、同園を運営する神戸市の社会福祉法人「イエス団」(黒田道郎理事長)と協定を結んだ。園舎は自家発電や貯水タンクなど災害に対応した設備があり、住民にとっても安心感が高まる。


 園舎は、町が同町南道の高台に整備している防災拠点エリア内に、同法人が町からの補助を得て昨秋建築した。鉄骨平屋で屋内の床面積は2347平方メートル、屋外テラスは587平方メートル。園児の定員は160人だが、廊下や屋外テラスが広いことで多くの人が入れるという。さらに自家発電や貯水タンク、ガスの空調機器を備えており、停電や断水をしても一定期間は電気や水道、空調の使用が可能となる。床暖房を備えた部屋もあり、冬場でも乳幼児などが安心して避難できる。

 協定の調印式は同日、同町芝の町役場で小谷芳正町長ら町関係者、同法人が運営する愛之園保育園の神谷羊子園長が出席してあった。

 小谷町長は「新しくできたこども園を災害時に利用させてもらえるよう求めたところ、快く引き受けてくれ、ありがたい。地域住民も安心するかと思う」、神谷園長は「皆さんのおかげでとても立派な園舎を建てることができた。万が一の時、住民に使ってもらい、地域のお役に立てればと思う」と話した。

 協定によると、津波発生時の地域住民の一時避難所に加え、地震や風水害など災害時に乳幼児や障害児、妊産婦など支援を必要とする地域住民の福祉避難所として利用できる。

 町総務課消防防災室によると、こども園はまだ開園していないが、今月初めから災害時に利用できるようになっている。近く、周辺の芝や芝崎、東吉田、南道の区民に呼び掛けて説明会を開く。避難訓練も計画したいという。

 防災拠点エリアには来年度中に防災備蓄倉庫を整備し、その後、消防車庫や非常用トイレを整備することも計画している。

 東吉田区の川口松太郎区長(73)は「これまでの避難場所は低い所にあり建物もなかったが、こども園は高台にあり設備もそろっているので、地域住民は安心して避難できる。感謝したい」と話している。