和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月07日(木)

すさみ町の柱松が存続危機 摂南大学の協力、今年が最後

夜空に幻想的な火の弧を描く柱松(2013年8月、和歌山県すさみ町佐本中で)
夜空に幻想的な火の弧を描く柱松(2013年8月、和歌山県すさみ町佐本中で)
 和歌山県すさみ町佐本地域の盆行事「柱松」が、存続の危機にある。ここ数年、主体となっている摂南大学(大阪府寝屋川市)の学生による活動が「今年で最後」と決まったためだ。地域では人口減少、高齢化が進むが「何とか伝統行事を続けられないか」という声もある。今年は16日夜、旧佐本小学校で開かれる。

 無病息災を願う佐本地域の柱松は、江戸時代に始まったとされる。丸太の先に稲わらで作った「巣」をくくりつけて立て、それを目掛け、たいまつを投げ入れる。

 長年、地元の有志でつくる保存会が営んできたが、高齢化などで2011年の開催を最後に保存会は解散。12年以降は摂南大の学生が中心になり、元会員ら住民の協力を得て開いてきた。

 摂南大では毎年、学生や教員が大阪府の小学生を引率する形で、佐本地域を拠点にした3泊4日のキャンプを盆時期に開いており、企画の一つに柱松を入れていた。このキャンプが「今年で最後」と決まった。寝屋川市からの補助金がなくなることで児童の参加費が2倍以上になってしまうことや、担当する教員の1人が本年度で定年を迎えることが理由という。

 長く柱松に携わり、保存会の会長も務めた浦剛さん(76)=すさみ町佐本中=は「なくなってしまうと残念がる人もいると思うが、来年以降の話は今のところ(地域で)出ていない。人手不足が一番の課題。保存会の元会員や帰省してくる人たちで意見を出し合うのがよいかもしれない」と話した。