和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月19日(月)

子どもに大ウケ、関西弁に麺類擬人化…ネットで反響シュール絵本

ネットでも話題になった『うどんのうーやん』(ブロンズ新社)
ネットでも話題になった『うどんのうーやん』(ブロンズ新社)
 数年前、ネットで話題になった岡田よしたか氏による絵本『うどんのうーやん』(ブロンズ新社)。擬人化されたうどんが自ら出前に出ていく奇妙なストーリーで、セリフはすべて関西弁。ネットでは「シュールすぎる!」「ヤバすぎて買ってしまいそう」と話題になった。新作『そうめんソータロー 』(ポプラ社)でも息づく、奇想天外な作風の理由、落語や吉本新喜劇から影響を受けたという関西弁へのこだわりについて、岡田氏に聞いた。

【写真】「不気味」「キモイ」…うどんやそうめんが関西弁でしゃべる、シュールな絵本

■シュールすぎる絵本『うどんのうーやん』、「不気味」「キモイ」とネットで話題

 『うどんのうーやん』は、人手が足りないうどん屋に代わり、自分で出前に出ていく物語。うどんを擬人化しているものの可愛らしさはなく、リアルな絵柄がかなりシュールに映る。しかも、登場人物の言葉はすべて関西弁。絵本ながらボケや絶妙な間まで感じさせ、その特異性からネットで話題に。響いているのは大人だけかと思いきや、『ようちえん絵本大賞』や『静岡書店大賞』などにも選出され、子どもたちにも大いにウケているようだ。

――『うどんのうーやん』が話題になったとき、岡田先生はどう思われましたか? ネットでは「不気味」という声も多く寄せられていました。

【岡田よしたか】話題になったこと自体はうれしいです。その前年に出した『ちくわのわーさん』もちょっと人気が出ましたしね。それに不気味というのは自分でも思っていました(笑)。広く一般ウケするとは思っていませんでしたが、僕は自分が面白いと思ったものを描いているだけ。「キモイ」と言われても嫌な気はしませんよ (笑)。

■“全編バカ話”でも、無職の高齢者の励みに?

――ご自身でもネットでの評判をご覧になりますか? 子どもの親御さんの反応も気になります。

【岡田よしたか】妻がスマホでレビューを見せてくれることもあります。以前描いた絵本を読んだ人の感想では、「全編バカ話でがっかりしました」と書いてありました(笑)。

――それを見て先生もがっかり?

【岡田よしたか】いや、そんなん面白いやないですか(笑)。ほかには60歳の人が、「仕事もなく、体の具合も悪くて毎日家におりますが、読んでみて非常に楽しかったです」と書いていらっしゃって。「ひょっとして自分は、ええことしてるんとちゃうか?」って思ったくらい(笑)。でも、そういう話を聞くとやっぱりうれしいですよ。

■図書館では常時貸し出し中、「シュールだと感じるのは大人だけ」

――子どもたちの反応はいかがでしょうか?

【岡田よしたか】幼稚園や小学校で読み聞かせイベントをやると、思ってもみないところで笑いが起きたりして、面白いですね。今では図書館に行くと、僕の絵本が常時貸し出されている状態だったりして、そういうときもうれしさを実感します。

――児童書では“うんち”や“ざんねん”などというキーワードが流行ったり、先生の作品のようなシュールさがヒットに結びつくことがありますが、ご自身ではどう思われますか?

【岡田よしたか】いや、シュールだと感じるのは大人だけで、子どもはそうは思わいないだろうなと。うどんが動いているのに「なんで目がないんやろ? なんで手足がないんやろ?」と思うのは大人だけ。子どもは純粋に楽しんでいるんやろうなって思います。読み聞かせをしても喜んでくれますね。

■セリフは関西弁なのは吉本新喜劇の影響、原点は「便所の落書き」

――先生の作品はすべて関西弁で書いてありますが、そこにこだわりは?

【岡田よしたか】普通は、絵本を描いて出版したら完成形。でも、僕はその作品を声に出して、人に読み聞かせることが最終の完成形だと思っていて。大阪生まれ、大阪育ちの僕としては、やっぱり普段のしゃべり言葉で…というのがあるので、関西弁で書いています。関西の演芸や落語も、みなさん自分の言葉でやっているじゃないですか。漫才や芝居の台本も、関西弁で書いてあるはずですから。そういう落語や漫才、吉本新喜劇が僕の体に染みついていると言ってもいいかもしれません。

――そういうセンスは昔からあったんですか?

【岡田よしたか】大学の学生時分から結構、僕は人気者でしたよ(笑)。

――先生は愛知県立芸術大学出身でしたね。

【岡田よしたか】当時、便所の壁に落書きをしていまして。僕はそこに知的に笑わせるような絵を描いていたんですが、学校内で評判になったんです。男子トイレに描いたものを女の子が見たいと言うから、僕らでガードして“岡田の便所の落書き鑑賞ツアー”を開催したこともありました(笑)。

――デビュー作となった絵本は2001年の『おーいペンギンさーん』。そのとき先生はすでに45歳でした。

【岡田よしたか】僕の絵を見た福音館書店の編集さんが声をかけてくださって、絵本を描いてみないかと誘われたのが始まり。小学生のころは手塚治虫さんみたいな漫画家になりたいと思っていましたが、絵を描いていた大学時代は絵本には関心ありませんでした。それが30歳ぐらいのときに保育所で仕事をやり始めて、絵本を読むようになって。とはいえ、絵本を描き始めても、2作目を出せたのはデビュー作から8年経ってからですので、絵本業界も大変だなぁと痛感しました。

――もちろん、すぐに絵本作家だけで食べられるようになったわけではない?

【岡田よしたか】そうですね。1作目の絵本を出した後も、今は閉園してしまった奈良ドリームランドでアルバイトをしていました。メンテナンス科の園内補修の仕事で、当時の時給が800円。2006年に閉鎖してしまい、その後どうしようかと思っていたんですけど、本も出すことができたし、たぶんイケるやろうと。妻も納得して、外に仕事を探しには行きませんでした。何年か、どうにもならなかったんですけどね(笑)。別に苦しいと思ったことはありません。

■最新作は夏の人気者“そうめん”、「自分が楽しんで、それが子どもたちに伝わったら」

――最新作『そうめんソータロー』は、夏に人気者だったソータローが、季節が変わっても食べてもらおうと奮闘する物語。こちらも『うどんのうーやん』同様、絶妙な絵柄と関西弁で描かれています。岡田先生は、どんなところが見どころだと思われますか?

【岡田よしたか】う~ん…、僕、これからスゴイ絵本作家になるとか、そういうのってないんですよ。

――そうなんですか(笑)。

【岡田よしたか】自分が楽しんで、それが子どもたちに伝わったらいいなぐらいで。だから、見どころと言っても…。あっ、今回登場する“そうめんの長老”は好きです(笑)。ちょっと見てほしいかな。これから夏に向けて、ぜひ子どもと一緒に読んでいただけたらうれしいですね。

(文:今 泉)

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