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2024年03月29日(金)

「SDGs未来都市」に田辺市 熊野の保全と継承重点に

田辺市役所
田辺市役所
 国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、優れた取り組みをしている自治体を国が選定する本年度の「SDGs未来都市」に、和歌山県田辺市が選ばれた。全30自治体のうち特に先進的な10自治体が選ばれる「自治体SDGsモデル事業」にも選定。同事業に選ばれたのは県内で初めてという。

 内閣府が20日、発表した。「未来都市」の公募と選定は2018年度から始まり、21年度までに124自治体が選ばれている。県内では和歌山市のみ。

 田辺市の提案した計画は「未来へつながるまち『田辺市』を目指して~1000年をつなぐ熊野の保全と継承~」。熊野の未来を拓く、人づくりに重点を置いている。

 経済、社会、環境の三つの側面をつなぐモデル事業として、熊野の森を守り育てる仕組みとその担い手づくり▽子どもたちへの森林環境教育の推進▽「たなべ未来創造塾」など地域課題の解決を通じたビジネスの創出と人材育成―などの取り組みを盛り込んだ。

 モデル事業は未来都市のうち、特に先導的な取り組みを支援するもので、最大2500万円の補助金が交付される。

 真砂充敏市長は「千年以上にわたって地域の暮らしの中で里山を守り、貴賎男女の隔てなく何人をも受け入れてきた熊野の文化は田辺市の個性の源であり、SDGsの理念にも合致する。次の千年につなぐ、安心して住み続けることができる熊野を形成していきたい」とのコメントを発表した。

【SDGs】

 2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標。15年の国連サミットで採択された。「誰一人取り残さない」という理念のもと、「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」など17の目標が設定されている。