和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年07月05日(火)

「幻の古道」パンフレット完成 奥辺路ルートの詳細紹介

完成した「奥辺路」のパンフレット
完成した「奥辺路」のパンフレット
 和歌山県田辺市龍神村で地域の特性を生かしたまちづくりに取り組んでいる「龍の里づくり委員会」(伊藤研治委員長)は、高野山から熊野三山に続く山道「奥辺路」の詳細なルートなどを紹介するパンフレットを作成した。中心となった「幻の熊野古道・奥辺路班」のメンバーは「これを機に奥辺路を知って、興味を持ってもらいたい」と話している。

 奥辺路は、世界遺産に登録されている熊野古道とは別に存在した山岳信仰の道。高野山から護摩壇山、龍神温泉、丹生ノ川を経て熊野本宮大社へと続いている。かつて修験者が行き来し、住民も生活道として利用したとされる。

 総延長は約86キロ。龍神村以降のルートは、田辺市中辺路町の近露に合流する「兵生越(ひょうぜいごえ)」という道と、修験者の往来が多かったとされる果無(はてなし)峠を越える道に分かれている。

 龍神村内では忘れられていたが、清水町(現有田川町)の町史などで奥辺路に関する記述が見つかったことから、観光資源の一つとして整備し、観光客らに楽しんで歩いてもらおうと、奥辺路班がルートの確認作業や道普請などに取り組んできた。

 パンフレットは28ページ。冒頭に高野山や熊野三山、奥辺路についての解説文を載せている。奥辺路のルートは見開きで詳細に紹介し、未舗装の区間や景勝地、沿道の休憩ポイントなどを細かく記載している。また、高野山と龍神、近露での月別の気温や降水量などのデータを記しているほか、温泉地や宿泊施設についても紹介している。

 奥辺路班のリーダーで、トレイルランのガイドやインストラクターとして活動している中川政寿さん(40)=龍神村小又川=は「奥辺路では低山から高山の尾根道まで、多様な植生を見ることができる。途中には温泉があり、護摩壇山など車で来てルートの一部を歩ける所もある。奥辺路を通じて、高野山と龍神のつながりも知ってもらえたら」と話している。

 全ルートを踏破するには、6日間ほどかかる。標高千メートルを超える護摩壇山や果無山脈もあり高低差が大きく、中川さんは「季節や歩く距離を考慮した上で、適切な準備をしてから歩くようにしてほしい」と呼びかけている。

 奥辺路班は安全に歩いてもらおうと、龍神村内の奥辺路沿いに説明板や道標を設置している。班では「関係する他の市町村とも協議中だが、龍神村以外のルートについても看板の設置や道普請に取り組んでいきたい」としており、看板や道標がない区間を歩く際は注意を促している。

 パンフレットは奥辺路が通る各市町村の観光協会などで手に入る。問い合わせは、龍神行政局の龍の里づくり委員会事務局(0739・78・0111)へ。



 龍の里づくり委員会は2018年度に設立された。観光、商工、行政など龍神村の22団体で構成し、村内の若手を中心に観光や農林商工業に携わる人たち、芸術家、行政の関係者らで企画部会を設けている。さらに部会の中に三つの班(奥辺路班、情報発信班、食の龍神ブランド開発班)を設け、具体的に活動している。