和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月19日(木)

使ってよいのは「紙地図」のみ 女子高生の“迷子”散歩マンガに反響

『ぐるぐるてくてく』 (C) Midori Obiya / LINE
『ぐるぐるてくてく』 (C) Midori Obiya / LINE
 「散歩部」に所属する二人の女子高生が、放課後にてくてくと散歩するだけの漫画『ぐるぐるてくてく』。独特のゆる~い雰囲気が人気で「絵が可愛くて読んだけど、内容も可愛かった。ほのぼの」「散歩好きにはたまらないマンガだ!」「散歩部に入部したい」などのコメントが寄せられている。

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 また散歩の目的地として実在のスポットが登場するため、「目白よく行くから嬉しくなってしまった」「こんな素敵スポットがあるなんて知らなかったー!」といった反響も。この漫画について、作者の帯屋ミドリさんに聞いた。

■「散歩部」の部長と部員の散歩ストーリー 迷いこんだ小路、ぐるぐる遠回りも

 『ぐるぐるてくてく』の主要キャラクターは、「散歩部」の部長・葵と、彼女に勧誘されて入部した歩の二人。歩は、方向音痴ですぐ迷子になる葵に「まったくもう、しょうがないんですから」とツッコミつつ、放課後の部活動として散歩を楽しんでいる。

「散歩」をテーマにした漫画とは珍しいが、帯屋さんは「いろいろな風景、街の背景を描いてみたいという欲求が最初にあり、それを一番満たせるのは散歩漫画ではないか」と考え、この作品を描き始めたという。紙地図のみを使用し、迷う様子も大切にしている。

――「散歩」がテーマになっていますが、ご自身も散歩がお好きなのですか?

【帯屋さん】好きです。歩く散歩に限らず、車や電車で知らない場所に行くことが好きです。RPGのマップを隅から隅まで調べないと気がすまない性格で、それを現実世界で実行しているような感じです。大学生になって上京し、初めての東京生活では時間があればいろんな場所に散策に出掛けていました。今でも時間があれば未踏の場所へくり出したい思いは変わりません。

――読者コメントでは「景色の描き込みが緻密」「一話一話手間が掛かってんなぁー!!!」と称賛の声が挙がっています。ふんわりとしたキャラクター画と写真さながらの風景画の両方を描いていて苦労する点はありますか?

【帯屋さん】背景はとにかく手間と時間がかかります。キャラクターの絵は何度も描くから慣れてきますが、背景はほぼ毎回違う場所なので苦労が多いです。背景とキャラクターの雰囲気を合わせるために、背景は定規を一切使わずにフリーハンドで描くというルールを決めました。このルールが手間と時間を増やす結果になっていますが……。また、背景を描くために取材に行くと、タイミング悪く工事をしていたり、天気に左右されたりもします。机の上以外の苦労も多いです。

■放課後は“散歩” 池袋に高田馬場、目白 都会の知られざる名所を発見する

――毎話ごとに“名所”を紹介されていますが、苦労することはありますか?
 
【帯屋さん】一番困るのは自然です。『ぐるぐるてくてく』の季節は春ですが、取材が冬の時期もあったので、冬の景色を見ながら春の景色を描かないといけなくなります。また毎回締め切りが決まっているので、更新に合わせて2週間以内に描かないといけません。

 おまけマンガによると「この作品の執筆のために、同じ場所を二回散歩する」そうで、それによって「新しい店ができていたり、休日と平日ですれ違う人の装いが違っていたり、そういった変化がある場所もあります」と新たな発見があるそう。

 また作中には実在の場所が登場するが、「コースはなるべく路地を選んでいます。狭い道を抜けた先に素敵な景色が広がっているとワクワクするので、そういった場所がないかいつも探しています」とこだわりを見せている。

――帯屋さん流の「散歩を楽しむ方法」はありますか?

【帯屋さん】事前に調べ過ぎないことです。ゲームで真っ先に攻略本を読むような散歩は退屈だったりします。その場その場の出会いをより新鮮なものにしたいです。また細い路地があれば、その先に素敵な景色が広がっているかもしれません。

――お気に入りのキャラクターや思い入れのあるエピソードはありますか?

【帯屋さん】6歩目の「雑司が谷」はいつか漫画に出したいと思っていました。大学生になって上京し、初めて住んだ東京の街が「雑司が谷」だったので、思い入れの強い場所です。この回に出てくる赤丸ベーカリーさんでいつもパンを買っていました。お気に入りのキャラクターは全員ですが、あえて選ぶなら歩です。ゲーム好きな性格は自分自身を重ねているところがあります。■漫画家を目指したきっかけは「さくらももこ」 大手出版社からは門前払い

 小学生の頃に友達と漫画を描き始め、大学2年生のときに本格的にペンで描き始めたという帯屋さん。そのきっかけは、自らが漫画家になるまでを描いた、さくらももこの自伝エッセイ『ひとりずもう』を読んだことだった。「絵が全然描けないから、漫画家になろうなんてまったく考えていませんでした。でもせっかく上京したのだから挑戦してみようと思い立ち、描き始めました」と当時を振り返る。某大手出版社に持ち込みに行ったとき、「これを読んだのが僕で良かった。他の編集者ならきついことを言ってましたよ」と厳しい言葉をかけられたことも。そういう悔しさをバネに何度も持ち込み、投稿をくり返して現在に至っている。

――ユーザーからのコメントで、うれしかったものや印象に残っているものは?

【帯屋さん】「『ぐるぐるてくてく』を読んで実際に散歩に行きました」というコメントがとてもうれしいです。散歩の楽しさを伝えることができたのかなと思います。

――今後、『ぐるぐるてくてく』をどのような作品にしていきたいですか?

【帯屋さん】多くの方の散歩のお供になればいいなと思っています。今は都内、特に池袋周辺が中心ですが、もっと多くの場所を登場させたいです。

――今後描いてみたい場所や、作品のジャンルを教えてください。

【帯屋さん】田舎の景色を描きたいです。日本だけでなく、海外の景色もいつか描いてみたいです。作品のジャンルで言うと、SFかファンタジーを描きたいです。デビュー作の『放課後ミンコフスキー』はタイムスリップの話でしたが、また別のSF漫画に挑戦してみたいです。大学時代に鉱物の勉強をしていたので、その知識もどこかで活かせられればなと考えています。

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