和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年08月04日(火)

「印南の奇跡」国際会議で発表 津波の教訓で印南中生徒

過去の津波の教訓を伝える取り組みについて発表する印南中学校の生徒(5日、和歌山市で)
過去の津波の教訓を伝える取り組みについて発表する印南中学校の生徒(5日、和歌山市で)
 約140カ国の博物館関係者が一堂に集まる「国際博物館会議(ICOM)京都大会」の「教育・文化活動国際委員会」の会議が5日、和歌山市であった。和歌山県印南町の印南中学校の生徒が世界の研究者らを前に、安政南海津波(1854年)で犠牲者を出さなかった「印南の奇跡」を紹介しながら、過去の津波の教訓を地元に伝える活動に取り組んでいることを発表した。

 会議は3年に1度開かれる。今回は京都市を中心に2日から開かれていて、過去最多となる約4千人の博物館職員や研究者らが集まった。5日からは30の委員会が各地に分かれて会議を開き、和歌山市には「教育・文化活動国際委員会」の約90人が訪れ、文化施設を視察するなどした。

 学芸員や中高生による教育文化活動の発表があり、印南中学校の生徒7人は県立博物館で、地域住民と災害の記憶の共有化を目指す取り組みを、英語と日本語で話した。

 印南は宝永南海地震(1707年)の大津波で200人近くが犠牲になったが、その教訓が語り継がれ、147年後の安政南海地震の津波では一人の犠牲者もなかった。しかし、92年後の昭和南海地震(1946年)では16人が亡くなった。生徒は発表で「安政の快挙が油断を生じさせた」とし、学習の一環として、紙芝居「安政印南の奇跡」を作って教訓を伝えたり、地元でも知る人が少ない印定寺に残る宝永津波の合同位牌(いはい)の裏書きを博物館の協力で現代語訳したりしてきたことを紹介。「東日本大震災では『釜石の奇跡』があったが、印南でも安政南海地震では先人が生存率100%と快挙を残している。将来確実に起こるとされる南海トラフ地震でも成し遂げたい」と話した。