和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年09月20日(日)

魚の記録40年で364種 串本の海中展望塔

海中展望塔から見えるメジナの群れ(串本海中公園センター提供)
海中展望塔から見えるメジナの群れ(串本海中公園センター提供)
海中展望塔(和歌山県串本町有田で)
海中展望塔(和歌山県串本町有田で)
海中展望塔の魚出現数と平均水温
海中展望塔の魚出現数と平均水温
 和歌山県串本町有田の串本海中公園センターは、海中展望塔に集まる魚を40年間(1978~2017年)観察した記録をまとめた。総出現種数は364種。1990年代以降は観察当初に比べ、海水温の上昇で熱帯種の出現が増えている。記録は串本海中公園センターのホームページからダウンロードできる。

 センター前の錆浦(さびうら)海岸にある海中展望塔の窓からは、水深約6・3メートルの海中が観察できる。調査は年間120日をめどに78年から毎年している。40年間の観察日数は4727日に上る。

 魚の年間出現種数は86種~191種(平均134・4種)で、各年の日平均は27・0~54・9種(平均38・9種)。

 最も出現率が高いのはメジナで、続いてソラスズメダイ、アカササノハベラ。出現率は4位のニシキベラまで99%以上、18位のクマノミまでは80%以上、28位のカサゴまで50%以上だった。毎年欠かさず出現したのは46種で、うち42種が50位以内に入った。

 出現種数は急激に海水温が上昇した90年代ごろに増加し、水温が高い値で安定した00年以降も増加傾向が続いている。水温は70~80年代は20度台が多かったが、90年代は21度を超える年がほとんど。98年には22・9度を記録するなど00年以降、22度台もたびたび出ている。

 観察担当2代目で15年間続けている小寺昌彦さん(51)は「水温が高い年に多くの種が記録される傾向がある。高い水温が維持されることで、熱帯種が定着している」と推察している。

 小寺さんは「展望塔から見えるわずかな範囲に串本の海が凝縮されている。魚の出現が増えるのは9月以降で、10~11月が最も多い。魚好きの方は観察記録を見て訪れてくれると魚が探しやすい。潜水を伴わないから自然な姿が見られる」と勧める。

 長期的な魚の定点観察は全国でも珍しいという。「潜水機材を用いずに観察できる海中展望塔ならではの記録。前任者との引き継ぎがうまくできたのも大きい。次の目標は50年。蓄積したデータを分析して、串本の海の魅力をさらに探りたい」と話している。

【海中展望塔】

 1971年にオープン。岸から約140メートル離れた位置にある直径約7メートルの円柱で、展望室の窓は直径30センチで40個ある。透明度が高いときは30メートルほど先まで見られる。