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2022年05月19日(木)

「田辺薪能」400人魅了 闘雞神社創建1600年記念

蜘蛛の糸を投じる妖怪土蜘蛛(中央)=和歌山県田辺市新屋敷町で
蜘蛛の糸を投じる妖怪土蜘蛛(中央)=和歌山県田辺市新屋敷町で
 闘雞神社(和歌山県田辺市)の創建1600年を記念した「田辺薪能」が28日、田辺市新屋敷町の紀南文化会館であり、観世流の能楽「土蜘蛛(つちぐも)」が上演された。幽玄な能の世界に、約400人の観客が魅了された。

 主催は世界遺産闘雞神社創建千六百年記念事業推進協議会。紀伊民報など後援。

 薪能は、舞台の周囲にかがり火などをたいて演目を演じる能楽。この日は雨天のため、神社境内で予定していた開催を屋内に変更した。協議会の榎本長治会長が「能は田辺祭で奉納されたと万代記で伝えられており、闘雞神社とも縁が深い。弁慶ゆかりの舞囃子(まいばやし)も楽しんでください」とあいさつした。

 「土蜘蛛」は、平安時代の豪傑、源氏の武将頼光(らいこう)の家来たちが妖怪土蜘蛛と戦う物語。

 舞台では頼光の元に、僧に扮(ふん)した妖怪、土蜘蛛が現れ、蜘蛛の糸を投げ掛けた。頼光は枕元の刀「膝丸(ひざまる)」で切りつけると、僧は姿を消した。その後、頼光の家来たちが血の跡をたどり土蜘蛛のすみかで最終決戦を展開。クライマックスでは、土蜘蛛が何度も蜘蛛の糸を投じ、家来たちが土蜘蛛を切り幕が下りた。

 土蜘蛛の曲中に登場する刀「膝丸」は、弁慶の父と伝えられる熊野別当湛増が一時所持することになったという逸話があり、この日の演目に選ばれた。このほか舞囃子の「安宅」「船弁慶」、大蔵流狂言「太刀奪」も披露された。

 上演前には、田辺第一小学校6年生による能楽太鼓の発表会などもあった。演奏後に田辺薪能を鑑賞した砂野鈴さんは「太鼓の演奏では緊張した。薪能は最高だった」、井口莉子さんは「能について学んでみたいと思った」と感激していた。