和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月20日(日)

古道の集落跡に中世の建物跡 和歌山県が発掘調査

和歌山県が発掘調査に取り組んだ熊野古道沿いの道湯川集落跡(和歌山県田辺市中辺路町で)
和歌山県が発掘調査に取り組んだ熊野古道沿いの道湯川集落跡(和歌山県田辺市中辺路町で)
 和歌山県が、熊野古道中辺路の「湯川王子」付近の古道沿いにある「道湯川集落跡」(田辺市中辺路町道湯川)で取り組んだ発掘調査で、比較的規模が大きな中世の掘立柱建物跡が見つかった。県は「参詣時の宿場や休憩所に関わる建物跡の可能性があり、大変注目される」と説明。現地に案内板を設け、古道の新たな見どころとして紹介している。

 県によると、道湯川集落は、室町時代に日高郡に勢力を誇った湯川氏一族発祥の地として知られる。少なくとも鎌倉時代には人々が住み、長年にわたって参詣者の宿場や休憩所としてにぎわったが、1956年に最後の住民が離村し、廃村となった。

 県では2018年度、県文化財センターに委託して発掘調査を実施。建物跡や磁器などが出土した。特に鎌倉時代から室町・安土桃山時代に建てられたとみられる掘立柱建物跡は2間(約3・6メートル)×5間(約9メートル)と比較的大きな規模だった。県世界遺産センターの辻林浩顧問は「熊野古道のすぐそばにあり通常の集落の家屋にしては大きいことから、参詣に何らかの関係を持つ建物なのではないか」と話す。

 発掘調査の結果について、県は道湯川集落跡がある古道沿いに英語を併記した案内板を立てたほか、集落跡を立体的に再現した模型(幅約75センチ、奥行き約45センチ)も制作。田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館の北棟で展示している。

 辻林顧問は「調査を通じて、居住域や水田、墓地、祭祀(さいし)の場所など、道湯川集落の全体像を把握することができた。単に熊野古道を歩くだけではなく、そこに集落や暮らしがあった一例として知っていただければ」と話している。