和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月18日(水)

特殊詐欺から身を守る 金銭がらみは「全てうそ」

 高齢者を狙った特殊詐欺の被害が後を絶たない。親心につけ込んで金をだまし取ったり、不安をあおってトラブル解決を名目に金を要求したり。手口は巧妙であり、県内での今年の被害額は11月末現在、約2億4300万円になる。


 1件当たりの被害が高額になっているのが今年の特徴だ。県警の調べでは、オレオレ詐欺が24件(前年比3件減)で被害額は約6200万円(同約400万円増)。架空請求詐欺は17件(同19件減)で被害額は約1億600万円(同約2200万円増)に上る。


 特に被害が大きかったのは、9月に和歌山市の70代女性が約3800万円を詐取された架空請求詐欺。発端は「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」というハガキが届いたことだった。


 不安を感じた女性が指定された番号に電話をかけると、法務省の職員を名乗る男から弁護士を名乗る人物を紹介された。相手は「訴訟を取り下げるために200万円が必要」と説明し、現金を宅配便で送るよう指示。女性は要求に応じて計8回、金を送った。最後は金の工面に困って親族に相談、詐欺だと分かったという。


 最近は銀行やATMでの防護対策が進んでいるため、それを逆手に取ってキャッシュカードをだまし取る手口も発生している。


 和歌山市の80代女性は11月、警察官を名乗る男から電話を受け、「詐欺グループの名簿に名前が載っている。このままでは口座から金が引き出されてしまう」などと説明された。その直後に、女性宅に別の警察官を名乗る男が訪れ、安全のために封筒にキャッシュカードを入れるようにいった後、隙を見て別の封筒とすり替えた。被害に気付いた女性は警察に相談したが、口座からはすでに50万円余りが引き出されていた。


 こうした被害からどのようにして身を守ればよいのか。


 県警は金融機関での警戒を強化し、特殊詐欺被害防止アドバイザーによる出前講座などに力を入れている。詐欺の指示役や金を受け取る「受け子」らの検挙も進めている。だが、詐欺グループは複数あり、実態解明は難しいという。


 けれども、これまでの犯行に使われた手口は参考になる。「風邪をひいて声が変わった」「携帯電話の番号が変わった」「キャッシュカードを預かる」「宅配便で現金を送れ」「有料サイトの未納料金がある」「医療費や保険料の還付金がある。ATMに行ってほしい」「融資するので保証金を送れ」。こうした連絡は全て、特殊詐欺グループの最初の一声だ。


 県警の担当者は「犯人は次々と違う手を考えてくる。少しでもおかしいと感じたら、即座に警察に相談して」と呼び掛けている。


 詐欺グループは巧妙だ。「自分は大丈夫」と思っていても、だまされてしまう。相手が息子や警察官を名乗っても、金の話を持ち掛けられたときは相手にせず、まずは身近な人に相談する。このことを常に意識して、大切な財産を守るしかない。 (Y)