和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年10月21日(水)

専門家招き対策へ 田辺市の大規模斜面崩壊現場を視察

大規模な斜面崩壊の現場を調査する山地災害の専門家ら関係者(29日、和歌山県田辺市上秋津で)
大規模な斜面崩壊の現場を調査する山地災害の専門家ら関係者(29日、和歌山県田辺市上秋津で)
 和歌山県田辺市上秋津の奇絶峡近くで発生した大規模な斜面崩壊の対策に向け、林野庁近畿中国森林管理局は29日、上秋津の農村環境改善センターで検討会を開いた。山地災害に詳しい専門家を委員として招き、今後の対策を検討した。

 森林管理局は2017年度から斜面崩壊の対策工事を続けているが、7月28日に大規模な土石が崩れ落ち、県道田辺龍神線をふさいだことから、今後の対策に向け、より効果的で効率的にできるようにと初めて開いた。本年度中にあと2回予定している。

 委員として加わったのは和歌山大学システム工学部の江種伸之教授、森林総合研究所(茨城県つくば市)森林防災研究領域山地災害研究室の岡本隆室長、京都大学防災研究所(京都府宇治市)の松浦純生教授の3人。林野庁や県、田辺市の職員、地盤・地質調査会社の社員ら約60人が参加した。

 検討会の前には斜面崩壊が起こった現場を見て回った。道路上の土砂は撤去されたが、危険な状況のため通行止めは続いている。

 検討会では、森林管理局の職員や調査会社の社員が斜面崩壊の状況について説明した。崩壊斜面の上方では幅340メートル、高さ550メートル、深さ64メートルにわたる広範囲に地滑りが起こっており、それによって斜面下部の末端が崩れ落ちている。地滑りは2011年ごろから活発になっており、地表面の伸縮計では1年に10センチほど動いているという。

 対策についても説明。地下水を抜くための工事のほか、雨量計や地表伸縮計、監視カメラ、地盤傾斜計、ワイヤセンサーによる監視を続けるという。地下水を抜くのは「斜面下部の末端が崩壊すると影響が大きいが、広範囲にわたる地滑りを沈静化させることが必要だからだ」と説明した。

 委員からは、的確な対策に向けて状況を正確に把握するよう求める意見が出た。参加者からは「土砂ダムが心配。斜面全体が崩れた場合、どれほど影響するのかシミュレーションしてほしい」「崩れるのを予測できないか」などという質問が出ていた。

 座長を務めた松浦教授は「上秋津の斜面崩壊は大規模で、対策が悩ましい現場。今日の意見を踏まえ、調査や解析を続け、メカニズムの解明はもちろん、恒久的な対策をやってほしい。地域の安全安心を確保することに努力してもらいたい」と語った。