和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年12月09日(木)

平和への願い込め歌碑建立 B29墜落の田辺市龍神村

作詞した故古久保満璃子さんの親族などが出席し、除幕した「殿原の祈り」の歌碑(和歌山県田辺市龍神村殿原で)
作詞した故古久保満璃子さんの親族などが出席し、除幕した「殿原の祈り」の歌碑(和歌山県田辺市龍神村殿原で)
 太平洋戦争末期に和歌山県田辺市龍神村殿原に墜落した米国の爆撃機B29の搭乗兵のことを思い、平和への願いを込めた歌「殿原の祈り」の歌碑が地元によって建てられ、10日に地区で除幕式があった。

 B29は1945年5月5日、殿原上空で日本の戦闘機に撃墜された。11人が乗っていて7人は墜落時に死亡、4人はパラシュートで脱出したが、後に3人が処刑され、1人は不明とされている。殿原では毎年亡くなった米兵の慰霊祭を営んでいる。

 「殿原の祈り」は、当時小学生で現場を見た地元の故・古久保満璃子さんが、恒久平和の願いを込めて書いた歌詞に、龍神村で集落支援員をした経験がある、上富田町朝来の永渕房夫さん(57)が曲をつけた。

 B29墜落の史実を伝える活動をしている地元の郷土史家、古久保健さん(82)が代表となった発起人らが協力を呼び掛け、浄財によって歌碑の建立に至った。歌碑は区内にある惣大明神近くの慰霊碑(47年12月建立)そばに建てられ、慰霊碑を造ったのと同じ和歌山市の石材店が手掛けた。

 除幕式には満璃子さんの親族や区民などが集まった。健さんは、満璃子さんが中学生時代に慰霊碑の除幕を見て強く印象に残ったことをメモしていたのが作詞の基になったことなど歌碑建立の経過を紹介。建立に協力した人に感謝しながら「永く受け継いでいただけるようお願いしたい」と語った。深瀬松視区長(72)も「素晴らしい歌碑ができた。区の財産として慰霊碑とともに守っていきたい」と述べた。

 最後に、永渕さんが満璃子さんとの出会いや作曲を振り返りつつ、心を込めてギターを弾きながら「殿原の祈り」を歌った。永渕さんは「満璃子さんも喜んでいると思う。感動した」と語った。満璃子さんの長男、古久保真介さん(56)は「皆さんの力で造っていただいた碑を見ると重みを実感する。母も喜んでいると思う」と話した。

■殿原の祈り(古久保満璃子)

 西ノ谷の 清き流れを 朱に染めて
 戦に散った 若者の 悲しき叫び伝えよう
 アメリカの 兵士の御霊 慰めん
 殿原の熱き想いを 伝えよう

 祈り続ける 村人の心 世界を包むほど
 平和の祈りに つながれる

 いつの日か この地球に 戦いのない
 まったき平和の訪れる その日まで
 殿原の想いよ届け 世の果てまでも