和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月25日(日)

NPO法20年 しなやかな組織育てよう

 特定非営利活動促進法(NPO法)施行から20年。社会的な課題の解決に、行政や企業にはない柔軟な手法で取り組むNPO法人が紀南にも根付いてきた。


 1998年12月1日にNPO法が施行され、市民団体が一定の基準を満たせば、法人格を取得できるようになった。県内で認証されたNPO法人は2005年に100団体、06年に200団体、10年には300団体を超え、今年1月末現在では394団体になった。


 経済規模も拡大している。わかやまNPOセンター(和歌山市)の調査によると、18年8月末時点で直近1年間の県内NPO法人(回答372団体)の収入は66億2447万円。5年前に比べて19億3010万円増えた。


 人口10万人当たりの法人数は全国17位(昨年11月末現在)。福祉や教育、環境、まちづくりなどの幅広い分野で活躍している。


 最近は課題解決を目的にした社会起業家が、NPO法人として活動する例もある。インターネットを利用して資金を募る「クラウドファンディング」の活用も目立つようになった。


 だが、課題も少なくない。県内NPO法人の平均収入は約1780万円だが、全体の半数以上が200万円以下。収入の多い一部の団体が平均を引き上げている。介護保険や障害福祉など公的な福祉制度に基づく事業を展開したり、指定管理を受けたりする団体だ。


 一方で、行政からの委託や助成事業が頼みで、打ち切られると立ち行かなくなるNPO法人も多く、すでに通算109団体が解散している。当初の目的を達成して解散した例もあるが、資金不足や人材難から活動できなくなる「倒産」状態も少なくないという。


 NPOの「非営利」は、利益を上げてはいけないという意味ではない。利益は分配せず、団体の活動目的を達成するための費用に充てることが求められる。それだけに安定した収入源が不可欠だ。


 今秋から、NPO法人の活動に弾みをつけそうな制度も始まる。金融機関に預けたまま10年以上出し入れのない休眠預金の活用だ。年間約700億円発生しており、いまは金融機関の収入になっているが、これをNPO法人など公的な活動に生かせるようになる。


 使い道は民間が決める。「指定活用団体」から、全国の「資金分配団体」を通じて、NPO法人などにお金が届く仕組みだ。これをうまく活用してもらいたい。


 暮らしが多様化する中、身近できめ細かなNPO活動の意義はますます高まる。分野を超えた連携が深まれば、活躍の場はさらに広がるだろう。自ら組織を立ち上げなくても、同じ課題に取り組むNPOの会員になったり、ボランティアをしたりすることもできる。寄付で応援することもできる。


 自ら設立する場合も、株式会社などより敷居は低い。いまはお金を稼ぐことより、社会を変えることに価値を置く人も増えている。そうした思いを受け入れるNPOを育てようではないか。(K)