和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年07月19日(金)

高校で卒業式 初心忘れず旅立ちを

 3月は卒業の季節。1日には高校の卒業式があり、多くの生徒が学舎に別れを告げ、新たな目標に向かって出発した。


 本紙ではこれに先立ち、紀南の各高校を巣立つ卒業生9人を連載「旅立ちを前に」で紹介した。取材して分かったのは、生まれ育った地域が好きな生徒が多いこと。地元を盛り上げたいと願い、将来は地元で働きたいと意気込む姿がまぶしかった。


 南部高校龍神分校の千葉果歩さんは、自宅から通える学校でゆっくりと過ごしたいと同校に進学。級友や先生との距離が近く、いつもみんなでわいわいと過ごした。国語の先生を目指して大阪の大学に進学するが、龍神村は「誰かが困っていたら助ける。そんな温かい場所」といい、将来は地元に戻りたいと考えている。


 軟式野球部や生徒会の活動に力を入れた南部高校の片山承君は、遠征試合の費用を賄うために、部員みんなでアルバイトをしたことが忘れられないという。春からは大阪の大学に進学する。「卒業したら帰ってきたい。そして、いつか子どもたちに野球を教えたい」と夢を描いている。


 神島高校の谷口未華さんは、懸命に弓道部の活動と大学受験の勉強に取り組んだ。看護師になるために県立医科大学に進むが、育った和歌山県が好きで県内の大学を選んだという。


 県内での進学先や就職先が限られていることから、高校卒業後に県外に出て行く卒業生は多い。一方で、一度は都会に出ても、ふるさとに愛着を持つ人も多い。心強い限りである。


 本紙が募集した卒業メッセージにも、卒業生からは感謝の言葉、在校生、教職員、家族、地域の人から卒業生に向けた激励の言葉がたくさん寄せられた。


 卒業生は保護者に向けて「ここまで育ててくれてありがとう」と伝え、恩師には「先生から学んだことは私の一生の財産です」と尊敬の気持ちをつづった。後輩にも「自分の良い行動には自信を持って、これからいろんなことに挑戦して頑張ってください」とエールを送った。


 卒業生に贈る言葉にも気持ちがこもっていた。後輩からは「先輩方が目標」「卒業しても会いたいです」という熱いメッセージがあり、家族からは「父ちゃん、母ちゃんはいつでもあなたの味方ですよ」というメッセージもあった。


 こうしたメッセージを読んで、いまさらのように「人はさまざまな人たちに大切に思われ、支えられて歩んでいる」と思った。


 進学するにしても、就職するにしても、社会に出れば親のありがたさを知り、ふるさとで過ごした日々が懐かしくなる。周囲の人々への感謝と初心を忘れず、目標に向かってもらいたい。それを支えてくれるのが、生まれ育ったふるさとの山や川、そして家族や友人、先生と過ごした日々である。


 新たな旅立ちへの季節。数多くの激励の言葉を胸に刻み、大きく羽ばたいてほしい。 (F)