和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月16日(月)

“食べられない”のが信じられない 粘土で出来たケーキの作者が、自分の居場所見つけるまで

ピヨノメさん作、フェイクスイーツ
ピヨノメさん作、フェイクスイーツ
 美味しそうなスイーツがSNSで話題になった。フレッシュなイチゴや甘いクリームの香りが漂ってきそうな写真だが、実はこれらはすべてフェイクスイーツと呼ばれる、粘土で作ったケーキ。「美味しそう!」や、「フェイクスイーツで出来たアクセサリーや小物なども多いけど、ここまで豪華で本物そっくりはなかなかない」など、10万近い“いいね”を集める反響となった。14歳から粘土のケーキを作り続けているという作者のピヨノメさんに話を聞いた。

【写真】どっからどうみても本物のベリータルト! その他本物にしか見えないフェイクスイーツ集 作業工程も!

■不登校も経験「フェイクスイーツを通して人に認めてもらえることの喜びを知った」

――ピヨノメさんのプロフィールを教えてください。

【ピヨノメ】年齢は25歳で、東京都の下町に父、母、妹と一緒に暮らしています。趣味はもの作りや古着屋さん巡りや、歌う事です。1人カラオケ7時間くらい出来ます(笑)。

――1人カラオケ7時間はすごいですね!(笑) 。小さいころから手先は器用だったのですか?

【ピヨノメ】はい。注文家具を制作する木工所を営む家に生まれ、物心ついた頃から紙工作や粘土遊びが大好きな子どもでした。でも、人間関係は少し苦手で、不登校になりかけたこともありました。14歳の時にスイーツを本物そっくりに作る『フェイクスイーツ』というクラフトに出会い、16歳の時に高校の文化祭でグッズを販売したところ、毎年即完売するほど人気になって、作品を人に認めていただけることの喜びを知ったんです。クリエイティブを通じて、たくさんの出会いなども経験し、少しずつ自分を取り戻しました。

――minneなどへの出店もされているようですが、作家さんとしての活動で生計を立てているのでしょうか?

【ピヨノメ】作家としてはまだまだ駆け出しですので、生計を立てられる程の規模ではありませんが、いずれそうなりたいと思って試行錯誤しています。大学を卒業してからは映像関係の制作現場や小売店など、いくつかの職を経験しましたが、あまりうまく行かないことが多かったんです。特に制作系のお仕事だと、自分の一番好きで得意な分野だからこそのプレッシャーや、もともと苦手な集団行動のあれこれなどで、心身のバランスを崩してしまうこともあって。そんな事を繰り返していくうちにすっかり自信を失ってしまい、お恥ずかしながらこの1年くらいはほぼ引きこもりのような生活を送っていました。

――粘土で作ったケーキの作品がたくさんの“いいね”を集めましたが、反響はいかがでしたか?

【ピヨノメ】今まででは考えられない程、たくさんの方からお褒めの言葉をいただきました。「美味しそう」、「目の前にあったら食べちゃう」、「欲しい」と、数々の嬉しいご感想をいただきました。また、twitterのフォロワーは2500人くらい増えました。minneのフォロワーも一気に1000人を超えました。

――特に褒められたのはどんな部分でしたか?

【ピヨノメ】本物に忠実で、繊細に作っている点だと思います。私自身作品を作る上でもっとも大切にしている部分なので、それが皆様に伝わったことがとても嬉しいです。

■作品を見て食欲がわくことはない「作業中に漂う匂いは“異臭”です(笑)」

――ケーキのパーツで、つくるのに特に時間がかかる、大変なものはどんなものなのでしょうか?

【ピヨノメ】苺です。ここ数年で何度も作り方を変えているのですが、忠実さを追求するあまり工程がどんどん増えていき、結構作るのが大変なパーツになってしまいました(笑)。塗装の工程だけで、表裏合わせて7工程くらいあります。スイーツ作品には欠かせないパーツですので、決して妥協はせず手間も惜しまず作っていますし、こだわればこだわるほど完成度が上がっていくので、やりがいがあります。

――作品を作っていてつらい時もありますか?
【ピヨノメ】作るのは楽しいので基本的には無いのですが、自分の作品に値段を付けるのが少し苦手です。作品を購入する方はその作品の良い所をたくさん知っていますが、作者は“粗”も見えている人だと思うので、作者が作品に値段を付けるというのは難しい作業だなといつも思います。

――ご自身で作っていて、「ケーキ食べたいな」って思っちゃうこともあったり?

【ピヨノメ】実はそんなに無いんです(笑)。まず、私は食が細い上に結構な偏食家なので、作業に夢中になって、食事をすっかり忘れてしまうことはあっても、日常で食欲に支配されることは少ない方の人間なんです。あと、作業中に漂う粘土や絵具やニスの臭いは美味しそうなケーキとは似ても似つかない“異臭”。お世辞にも食欲はそそられないですね(笑)。

■自身のブランドモデルも務める「もともとは、モデルを雇うほどの経済力や人脈が無かったから」

――YouTubeで技術の公開をしていますが、過程を発信する理由は?

【ピヨノメ】いつも作業をしながら色々なジャンルのYouTube動画を見ているので、「いつか私もこんな風に動画で発信してみたいな」という憧れがありました。制作の過程を発信する事で「作る過程のおもしろさ」という切り口から私の作品に興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいなという思いもあります。

――フォロワーさんの中には“ケーキを作ってみたい”という方も多いと思いますが、初心者はどんなケーキから挑むのが良いでしょうか?

【ピヨノメ】カップケーキがおすすめです。カップに粘土を詰めて、その上に好きな物をデコレーションをするだけでかわいくなります。簡単なので、お子様にもおすすめです。

――また、上記作品をつくるのに、初心者でも揃えやすい材料などがありましたら教えてください。

【ピヨノメ】最近は100均で売っている粘土の質がとても上がっていて、とても扱いやすいです。フルーツやチョコレートを作るには『Polymer cray樹脂粘土』、ケーキなどのふわっとした質感には『もちっとのび〜るねんど』という商品がオススメです。着色はアクリル絵の具がオススメですが、水彩絵の具やカラーペンでも大丈夫です。こちらも100均で手に入ります。

――作品のモデルなどとしても登場したり、ご自身のファッションも発信していますが、今後そのような活動の幅も広げていきたいとお考えでしょうか?

【ピヨノメ】モデルを雇うほどの経済力や人脈が無かったから自分でやっている、というのが正直なところなのですが、アパレル関係に色濃い環境で大学時代を過ごした経験があるので、今後の活動に活かして行きたいと思っています。大変有難いことに、「貴方の服のセンスが好きです」と言っていただけることも増えて来たので、いつか自分でデザインしたアパレル商品を世に出してみたいということも数年前から考えるようになりました。

――その他、今後の展望や、挑戦してみたいことなどがありましたら教えてください。

【ピヨノメ】ありがたいことに、12月にはケーキの展示会を予定しています。今後もイベント出展やネット販売など精力的に取り組んでいこうと考えております。また、機会がありましたらワークショップなども挑戦してみたいですし、ファッションも大好きなのでアパレル商品のデザインなども手掛けられたら嬉しいと思っております。まだまだ駆け出しの私ですが、1人でも多くの方に作品を見て、手に取っていただけるよう努力して参りますので、応援していただけると大変嬉しく思います。

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