和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年07月12日(日)

熊野15一絵(14)田辺市中辺路町/秋光る とがの木茶屋

美しく色づいたとがの木茶屋周辺の紅葉(29日午前8時10分、田辺市中辺路町野中で)
美しく色づいたとがの木茶屋周辺の紅葉(29日午前8時10分、田辺市中辺路町野中で)
とがの木茶屋地図
とがの木茶屋地図
 東の山並みから現れた朝日が、とがの木茶屋周辺で美しく色づいた木々の葉をさらに鮮やかに染め上げる。

 かやぶき屋根が印象的なこの茶屋は、田辺市中辺路町野中の継桜王子に隣接する熊野古道沿いにあり、中辺路を代表する名所の一つである。

 今年9月、茶屋の名物女将(おかみ)として知られた玉置こまゑさん(94)が亡くなった。夫の浅男さん(故人)とともに民宿や茶屋を営んで旅人を迎え、小説家の立松和平(1947~2010)ら文化人にも親しまれた。立松は、こまゑさんを敬愛して「山姥(やまんば)」と名付け、常連客も「おばば」と親しみを込めて呼んだ。

 家族によると、こまゑさんは生前、今年、世界遺産登録15周年を迎えた熊野古道について「世界から認めてもらえて良かった。これから人が多くなるので、忙しくなる」と喜んでいたという。

 茶屋はいま、市が無償で借り受け、地域住民の協力で古道を歩く人たちの休憩所として開放。名物女将に代わって国の内外から訪れる多くの旅人を迎えている。
(牧康宏)