和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月16日(月)

主要水道管 大地震備え、着実に耐震化を

 県内の主要水道管1848・6キロのうち、震度6強程度に耐えられる管は、2017年度末時点の国の調査で468・4キロ(耐震適合率25・3%)と分かった。都道府県では4番目に低く、4分の3の主要水道管が大地震発生時には寸断され、断水につながる恐れがあるという状態だった。


 耐震適合率とは、川などの取水施設から給水区域までの主要な水道管のうち、地震でも継ぎ目が外れない管と、地盤の状況から揺れに耐えられると判断される管の割合。全国平均は39・3%で、最高は神奈川県の71・3%、最低は鹿児島県の22・4%。都道府県によって大きな開きがある。


 県内の割合は、年々上昇しているが、それでも10年度からの7年間での伸びは5・2ポイントにとどまっている。都道府県別の比較では、14年度(22・9%)は最低、13年度と15年度は下から2番目と、低い状況が続いている。


 8年前に発生した東日本大震災(マグニチュード9・0、最大震度7)の場合、東北や関東で計256万7千戸が断水。ほとんどは3週間以内に復旧したが、津波被災地を除いても、最長で6カ月断水した地域があった。停電と津波に加え、水道管の被害が多かった。配水距離に占める被害箇所数が多い地域ほど、断水期間が長期化するデータもあり、水道管耐震化の重要性を物語っている。


 県が14年に公表した「地震被害想定調査」では、南海トラフ巨大地震(M9級)の場合、上水道管の被害により、99%の地区が発生直後に断水の影響を受けると想定。1カ月たっても県平均で3割程度、田辺市や和歌山市、海南市、有田市では4割以上で断水が残るとしている。


 一方で、政府の地震調査委員会は、東海から九州沖の南海トラフ沿いで、30年以内にM8〜9の巨大地震が発生する確率を「70〜80%」としている。


 待ったなしの状況だが、耐震化の促進には課題がある。対応できる市町村の職員不足や人口の減少による事業収入の低下などだ。そこで県は、医療施設や避難所などの重要給水施設について、優先的に対策を進めるよう、市町村に促している。しかし、これらについても耐震適合率は低く、16年度末で28・5%しかない。


 国は17年度末の耐震適合率(39・3%)を22年度末までに50%以上にする目標を立て、技術的支援や財政支援の強化で、耐震化ペースを1・5倍に加速させるとしている。県もまた月内に施設老朽化や職員不足、施設の耐震化などへの対応方針を示す「水道ビジョン」を策定、市町村と連携して取り組むとしている。


 大規模地震はいつ起きてもおかしくないし、そのたびに深刻な断水が発生している。県内でも国の支援を積極的に活用するなどして計画的に耐震化を進めたい。


 人間が生命を維持するために何よりも先に必要なのが水である。課題を乗り越え、できる限りの対策はしておきたい。 (K)