和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年05月26日(日)

南方熊楠賞に馬渡氏 無脊椎動物の分類で功績

 和歌山県田辺市と南方熊楠顕彰会(会長=真砂充敏市長)は22日、第29回南方熊楠賞を北海道大学名誉教授の馬渡駿介氏(72)=札幌市=に贈ると発表した。無脊椎動物の種分類学に関する研究に尽力したことを評価した。


 選考委員会によると、馬渡氏はコケムシと呼ばれる群体性の固着生物の研究に注力。多くの新種を含む日本産コケムシ類の種類相を明らかにした。世界中のコケムシ標本との比較研究も実施し、いくつかの科・属・種についての分類体系に改訂を加えた。


 2011年の東日本大震災によって東北地方を中心に自然史関係標本が失われたことに危機感を抱き、現在は沖縄県に国内初の国立自然史博物館を設立するための調査・研究活動をしている。


 堀越孝雄・選考委員長は「広範な無脊椎動物についてフィールドにおける丹念な調査・研究に基づいて種を記載・分類するという姿勢、自然史科学研究の発展のために博物館の設立を目指す活動などは、熊楠翁の精神に通じる」としている。


 馬渡氏は「巨人の名を冠した賞を頂くことの責任の重さを痛感している。熊楠翁とは、ロンドン自然史博物館で仕事をしたこと、分類学を専攻したこと、社会に働きかけたことという共通点がある。国立自然史博物館が設立された暁には、結果として熊楠翁にあやかり、自然が守られ、人類の持続可能性が高まることを願っている」とコメントした。