和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年09月18日(水)

交通法規の順守 県警の取り組みに期待

 飲酒運転が後を絶たず、横断歩道上で歩行者が車にはねられる事故も相次ぐ。こうした事故を減らし、死者をなくすためには、運転者が交通法規を厳守し、交通マナーを高めていくことが不可欠だ。


 県警によると、2017年に県内で起きた死亡事故で、飲酒運転の割合は全国最悪。18年は多少改善したが、物損事故を含めた飲酒運転による事故件数は17年とほぼ同数の約170件だった。


 歩行者が事故に巻き込まれるケースも多い。18年中に県内であった人身事故は2270件(前年比321件減)で、死者は36人(同2人減)。うち歩行者が15人を占める。今年3月には、みなべ町山内の国道42号の横断歩道を歩いていた高齢の女性が車にはねられ、死亡する事故も起きている。


 こうした事態を受けて県警は新しい体制をスタートさせた。交通指導課に「飲酒運転等取締係」、交通企画課に「飲酒運転根絶対策係」を設け、田辺市の飲食街「味光路」や和歌山市のアロチなどで取り締まりを強化する。運転の当事者だけではなく、県の条例に基づき、飲酒運転をした人に酒を提供した飲食店にも立ち入り検査を強め、指導を強化する。


 一方で持ち運び型の自動取り締まり装置「オービス」の運用を始め、速度違反車を特定して運転者を検挙する仕組みも整えた。目的は子どもや高齢者などを守り、死亡事故を防ぐこと。県警が2013〜18年に県内であった事故を分析した結果、規制速度を上回って事故を起こした場合、そうでない事故に比べて死亡事故となる確率が約10倍にも達していた。


 田辺署管内でも持ち運び型オービスを運用し、通学路や生活道路などにも目を光らせるという。田辺署交通課の大江澄享課長は「導入を広く知ってもらうことで、速度を抑制して重大事故の発生を防ぎ、同時に違反を減らす目的がある」と強調する。


 運転者の交通マナーの悪さについては、日本自動車連盟(JAF)の調査でも明らかになっている。信号機が設置されていない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている状況で、一時停止する車の割合は全国平均が8・6%。しかし、和歌山県は1・4%だった。


 田辺市内でも、歩行者が横断歩道の前で車が通り過ぎるのを待たされている光景をよく見掛ける。これについても大江課長は「歩行者の横断を優先するのはマナーではなく、守るべきルール。車が優先という意識を変えていかないといけない」と話す。


 白浜署でも「横断者優先」と書いたステッカーをバスやタクシー会社などに贈り、注意を促す取り組みを進めている。歩行者や自転車事故を防ぐため、反射たすきの普及にも注力している。


 交通違反をなくせば事故も減る。そのためには、違反の摘発と運転者の意識向上が欠かせない。まずは子どもやお年寄りが安心して道路を渡れる環境をつくろう。ハンドルを握る運転者が法令を順守することだ。 (Y)