Notice: Undefined index: thumb_path_large in /var/www/html/dev/webapp/model/front/widget/HtmlHeadWidgetModelClass.php on line 114 「サクラ前線」:紀伊民報AGARA

和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年04月25日(木)

「サクラ前線」

 今春、紀南の桜前線にちょっとした異変が起きている。田辺の市街地や海沿いでは、ソメイヨシノがようやく開花し始めたばかりなのに、山間部ではすでに満開の名所がいくつもある▼数日前に訪れた島ノ瀬ダムも満開。花の道を歩き、地元の人たちがつるしたこいのぼりが青空にはためいているのを見上げると、まさに春らんまん。両手を広げ、胸いっぱいに春を吸い込みたい気分だった▼龍神村から中辺路町に出ても、花は至る所に咲いている。小学校の校庭や民家の軒先にはソメイヨシノ、スギやヒノキの緑に映えているのはヤマザクラ。どちらも気品があり、遠くからの眺めは、まるで日本画のようだ▼ところが、富田川沿いに下って上富田町に入ると、咲き方が遅い。花は開き始めたばかりで、早い場所でも二、三分咲き。田辺の市街地に戻っても事情は同じで、見頃を迎えた所は見当たらない。桜並木の多い会津川沿いを走っても、上秋津の集落ではほとんど咲いていないのに、ほんの2キロほど上流の奇絶峡ではすでに満開だった▼桜の生態に詳しい同僚によると、今春は暖かな日が多く、とりわけ海沿いの地域では開花時期に関係する冬の気温があまり下がらなかった。逆に、山沿いでは寒い日が多かったから、こうした逆転現象が起きたのでは、という▼同じ遺伝子から生まれたソメイヨシノでも、咲く時期は環境次第。まるで人の成長物語を見るようだ。(石)