和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年07月24日(水)

「天皇陛下の来県」

 新しい元号が決まり、天皇陛下が退位される4月30日が迫ってきた▼平成の31年間に陛下が紀南地方を訪問されたのは3回。いずれも取材を担当した。初めての来県は1997(平成9)年10月。田辺市たきない町の高齢者複合施設と下三栖の梅加工会社を視察された。高齢者複合施設では、魚釣りゲームをしていたお年寄りに、皇后陛下が優しく声を掛けられていた姿が印象に残っている▼皇室取材は一般の取材とは違って、撮影場所があらかじめ厳密に決められており、30分前には配置に着く。陛下が見えられても、撮影できる時間は限られている。当時のカメラはフィルムを使い、連続してシャッターを切れるのは36枚まで。フィルム交換をしている暇はないので、残りの枚数を数えながらの撮影だった▼2回目の取材は2011年5月の全国植樹祭。ホテルでのレセプションで両陛下は、出席者一人一人と笑顔で懇談された。3月11日には東日本大震災が発生しており、被災者を度々見舞われる中での来県だった▼3回目の取材は15年9月の紀の国わかやま国体。南紀白浜空港に到着された両陛下は真っ先に県立情報交流センターに向かわれ、紀伊半島大水害の被災者と面会された▼平成は戦争のない時代とも呼ばれるが、一方で大きな災害が相次いだ。そこにあって、常に被災者や高齢者など弱い立場の人たちに寄り添われた両陛下の姿が心に残っている。 (長)