和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月12日(土)

市場販売量は過去最少 本年度の青梅 価格は最高、JA紀南、和歌山

産地と主要市場が今年の販売の反省や次年度に向けた対策などを話し合った会議(25日、和歌山県田辺市秋津町で)
産地と主要市場が今年の販売の反省や次年度に向けた対策などを話し合った会議(25日、和歌山県田辺市秋津町で)
 JA紀南は25日、和歌山県田辺市秋津町の中央営農経済センターで、2024年産青梅の販売反省会と次年度対策会議を開いた。今年は凶作ともいわれ、市場販売量は1422トンで過去最少。一方で1キロ当たりの市場販売価格の平均は852円で過去最高だった。


 JA紀南によると今年の状況は、冬の気温が高く、満開期が平年より16日早い極端な早咲きとなった影響で不完全花が発生し、着果量は前年、平年よりかなり少なかった。さらに、3月20日に広範囲で降ったひょう、カメムシの多発が等級を低下させたという。

 近年では20年産の市場販売数量が1740トンと最も少なかったが、本年産はそれ以上の不作となった。主力の南高の販売量は1277トン(前年比51%)、1キロ当たりの平均単価は844円(188%)。小梅の販売量も62トン(28%)、848円(129%)、古城も59トン(25%)、1021円(167%)と、かなり少なかった。ひょう被害を踏まえ、小梅や南高では「秀」「優」混合の等級を設けた。

 産地としては、気候変動の中、生産量を安定させることが最重要課題だとし、対策として短期的には授粉対策、土づくりなど基本管理の徹底、中長期的には改植や授粉樹の増殖、南高の優良系統の探索を行うことなどを挙げた。

 山本治夫組合長はあいさつで「市場や消費者の皆さまに非常にご迷惑をかけた。課題もあり、次年度以降にヒントになる意見交換ができれば」と述べた。

 市場関係者からは、袋に入れた梅を凍らせて、簡単に梅シロップを作れる方法が好評で「今後ますます広めていきたい」という声や、食育として、学童保育所や小学校で実施した梅の加工体験の例も挙げながら「将来的な消費の部分も含めて大事。漬けるという体験を多くの人に味わってほしいと考えており、引き続き普及していきたい」という声もあった。

 また「産地情報が大切」「しっかりした肥培管理など、生産面での努力もしていただきたい」といった要望もあった。