和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月07日(月)

防災をわがことに 災害に対する意識新たに訓練や講習会、和歌山

組み立てた段ボールベッドの寝心地を試す住民たち(8日、和歌山県上富田町朝来で)
組み立てた段ボールベッドの寝心地を試す住民たち(8日、和歌山県上富田町朝来で)
向井克往さん(中央)から地震への心構えなどを教わる堀地地区の区民ら=8日、和歌山県すさみ町周参見で
向井克往さん(中央)から地震への心構えなどを教わる堀地地区の区民ら=8日、和歌山県すさみ町周参見で
 和歌山県の上富田町とすさみ町で8日、防災に関する訓練や講習会があった。紀南は、南海トラフ巨大地震で大きな被害が生じると想定されている。1カ月前には、宮崎県沖を震源に発生した地震を受けて、気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表したばかり。参加した住民は、災害に対する意識を新たにした。

■避難所運営考える 上富田

 上富田町では、朝来地区町内会連絡協議会が、避難所の運営などについて考える訓練を朝来小学校体育館で開いた。

 町内会長ら約30人が参加した。大きな地震が起きたら何ができるかを考えるきっかけにしようと初めて実施した。

 参加者は、段ボールベッド(長さ約1・9メートル、幅90センチ、高さ約38センチ)を組み立てたり、簡易トイレの使い方を学んだりした。地元在住で防災士の資格を持つ幾島浩恵さん(55)は、災害への備えとして準備しておくべき物を紹介した。

 町によると、避難所の開設は職員が担うが、その後の運営は、なるべく早いタイミングで住民に任せたいという。罹災(りさい)証明の発行など、職員でしかできない業務に力を注げるようにするため、今後は訓練や勉強会を開いて態勢を整えていく方針だ。

 協議会会長の谷端清さん(67)は「こうした企画は年に1回は今後も開けるといい。少しずつでも住民の意識を高めていきたい」と話した。

■防災士から心得聞く すさみ

 すさみ町周参見の堀地地区会館では、防災減災講習会があった。区民ら19人が、防災士から地震への心構えや備えを教わった。

 住民のつながりを強めようと、堀地地区(津田義孝区長)が企画した初の取り組み。南海トラフ巨大地震が発生した場合、地区には10分以内に津波が押し寄せるとされているほか、全国で大きな地震が多発していることから、地震に対する認識を深めてもらおうと開いた。防災士で白浜町消防本部の元職員でもある向井克往さん(51)=すさみ町周参見=が講師を務めた。

 向井さんは、自助の重要性を強調し「命が一番大事。自分を助けられるのは自分だけ。素早く高い所に逃げること。ぐらっときたら心のスイッチを入れて」と呼びかけた。

 「巨大地震注意」などの臨時情報が出たら、すぐに行動することも重要だといい「行動は最大の防災。最悪の事態を想定して行動すること。空振りは許されるが、見逃しは許されない」と語った。

 事前の対策として、家具の固定や建物の耐震化に加え、地震保険の加入、地震情報を入手するための設定、ローリングストック(使いながら災害備蓄する)の取り組みなどを挙げた。その上で、「『知っている』人から『している』人になってください」と訴えた。

 いずれも親と参加し、熱心にメモを取っていた周参見小学校3年の杉浦応徳君は「自分で安全に逃げられるようにしたい」、同小3年の山口穂波さんは「机の下に入っても駄目だということに驚いた」と話した。